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日タイ食品・バイオ産業で次世代ビジネスを ― 12月12日・海外展開シンポジウム参加募集 ―

日本国内市場の先行きが読みづらいなかで、中小企業が持続的に成長していくためには、海外市場を視野に入れた事業展開が欠かせなくなっています。こうした「海外展開予備軍」の都内中小企業に一歩踏み出してもらうことを目的として、公益財団法人東京都中小企業振興公社(以下、公社)は「海外展開シンポジウム 日タイ産業連携の新展開:バイオエコノミーと地域資源からの挑戦」を開催します。テーマは「自動車依存を超えたタイの地域資源と日本の技術が生む次世代ビジネス」です。

シンポジウム概要

本シンポジウムは毎年12月頃、主に海外展開を行う都内中小企業の裾野を広げるために実施しています。公社では中小企業が今後も成長していくためには海外展開が必要不可欠と考え、これまで海外展開を具体的に検討してこなかった企業にも、海外を身近に感じてもらう「入り口」になる場と位置づけています。

公社の海外展開チャレンジ支援事業では年3回セミナーを開催していますが、今年度は第1回がインドネシア、第2回はタイ、第3回はベトナムをテーマとしています。

シンポジウム開催の背景

タイといえば自動車産業の集積地として知られていますが、実は食品・バイオ産業も同国の強みのひとつです。タイ産のサトウキビや農産物、副産物などの地域資源と、日本企業が持つ高い加工技術・素材技術・環境技術が組み合わされることで、新たなバイオエコノミー型ビジネスが生まれる可能性があります。

公社は2015年のタイ事務所開設以来、日タイ食ビジネス支援事業を通じて、タイ食品メーカーの課題解決に向けた日本企業とのマッチングを継続してきましたが、同事務所が10周年を迎える節目の年に、その成果も踏まえた議論の場として本シンポジウムを企画しました。

タイ工業省キーパーソンが示す「産業変革」と日本企業への期待

第1部の基調講演では、タイ工業省副事務次官のPassakorn Chairat氏が「タイ製造業の変革期:日本企業の貢献を期待するタイ政府のビジョン」と題して講演します。

Passakorn氏は、産業経済庁(OIE)長官や産業振興局(DIP)局長などを歴任し、タイの産業政策立案や中小企業支援、産業競争力強化の最前線を担ってきた人物です。長年にわたり日タイ産業連携を進める「お互いフォーラム」等を通じて、日本企業との技術連携や人材育成にも深く関わってきました。

シンポジウムでは、現在のタイ経済・市場動向や、政府が掲げる産業政策の方向性、直面する課題を俯瞰したうえで、日本企業にどのような役割とチャンスが期待されているのかを具体的に示します。技術連携・投資・共同開発など、今後の連携の入り口を探るうえで、タイ政府の本音を直接聞ける貴重な機会となります。

食品・バイオから見る「ポスト自動車」ビジネス

第2部のパネルディスカッション「自動車依存を超えたタイの地域資源と日本の技術が生む次世代ビジネス」では、官・産・学を代表する4名が登壇し、食品・バイオ産業を切り口に、今後の日タイ産業連携の可能性を多面的に議論します。

民間企業からは、アジア最大級の製糖企業 MITRPHOL SUGAR社で事業戦略・新規事業を担当するPassakorn Srisastra氏が登壇します。同社は65年以上の歴史を持ち、サトウキビを起点にバイオマス・バイオ化学等への展開を進めており、地域資源を活用としたビジネスモデル構築の実例を紹介します。

一方、日本側からは、火薬を扱うデバイスの開発・製造に長年携わり、タイ現地法人の工場長、社長としてタイでの経営経験も豊富な株式会社ダイセル 執行役員・研究開発本部副本部長・ライフサイエンスSBU長補佐の山田良平氏が参加します。素材・化学メーカーとして、タイ拠点を活用しながら新規事業を育ててきた視点から、中小企業がどのように現地パートナーと組み、技術を事業につなげていくかを説明します。

さらに、通商産業省(現経済産業省)在籍時にタイ政府系シンクタンクの政策顧問を務め、現在は金沢大学融合研究域教授としてグローバル・アントレプレナー教育を推進する松島大輔氏も登壇します。政策・企業戦略・人材育成の3つの視点から、中小企業がアジア市場で新規事業を生み出す際の「考え方のフレーム」を提示します。

そしてパネルディスカッションでは、タイの食品・バイオ産業の成長可能性、新たなビジネスモデル、タイ企業と日本企業の連携パターン、そして都内中小企業がどのようにタイ市場にアプローチできるのかを具体的に掘り下げます。自社の技術や素材、サービスを「どこに」「誰と」組み合わせれば新しい価値が生まれるのかを考えるヒントが得られるはずです。

シンポジウム終盤には、公社による支援メニューの紹介に加え、海外展開相談会も予定されています。自社の現状や課題を専門スタッフに直接相談できるため、「何から始めればよいか分からない」という企業にとっても、具体的な一歩につなげやすい構成となっています。

海外展開の必要性は感じているものの、これまで一歩を踏み出せなかった企業、販路拡大の選択肢に海外を加えたい企業、すでにタイに進出しているが次の展開を模索したい企業にとって、本シンポジウムは「日タイ連携の今」と「自社の次の10年」を同時に考える絶好の機会といえます。

Passakorn Chairat氏
Passakorn Srisastra氏
山田良平氏
松島大輔氏

当日のプログラム(予定)

  • 日時:2025年12月12日(金)13:00~17:20
  • 開催方式:リアル会場+オンライン配信
  • 会場:秋葉原UDXカンファレンス(東京都千代田区外神田4-14-1)
  • 定員:300名程度(先着順・要事前申込)
  • 受講料:無料
  • 対象:
    ①海外展開を行う必要性を感じている都内中小企業
    ②販路拡大を希望しているがその選択肢に海外展開が入ってない企業
    ③タイで既に海外展開を行っている都内中小企業

タイムテーブル

  • 13:00~13:10 開会挨拶(公益財団法人東京都中小企業振興公社理事長 中西 充 氏)
  • 13:10~14:00 第1部 基調講演
     「タイ製造業の変革期:日本企業の貢献を期待するタイ政府のビジョン」
     講師:Passakorn Chairat 氏(タイ工業省副事務次官)
  • 14:00~14:10 休憩
  • 14:10~16:30 第2部 パネルディスカッション
     「自動車依存を超えたタイの地域資源と日本の技術が生む次世代ビジネス」
     パネリスト:
      Passakorn Chairat 氏(タイ工業省副事務次官)
      Passakorn Srisastra 氏(MITR PHOL SUGAR社事業戦略担当副社長・新規事業担当)
      山田良平 氏(株式会社ダイセル 執行役員・研究開発本部副本部長・ライフサイエンスSBU長補佐)
      松島大輔 氏(金沢大学 融合研究域教授)
  • 16:30~16:40 東京都中小企業振興公社 事業説明
  • 16:50~17:20 海外展開相談会

申込方法

 本シンポジウムは先着順・事前申込制で、受講料は無料です。参加をご希望の方は、東京都中小企業振興公社が案内するシンポジウム専用ページをご確認のうえ、所定の方法でお申し込みください。定員に達し次第、受付を締め切ります。

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