日本の「遺品整理」を成長市場タイへ Green’sが構築する独自の循環経済モデル

東京都福生市に本拠を置く Green’s 株式会社(https://greens-2016.com/)は、超高齢社会の日本が直面する「遺品整理」や「生前整理」という社会課題を新たな資源の供給源と捉え、タイ市場を中心としたグローバルな循環型ビジネスモデルの構築を加速させている。
同社を率いる代表取締役の伊知地健太郎氏は、中古車販売を皮切りにリセール業界で約20年に及ぶキャリアを積み上げてきた経営者。同氏は、遺品整理・生前整理によって得た日本国内市場では十分に評価されない物品から、海外市場で通用する高い付加価値を持つ「商品」を厳選。これにより環境負荷の低減と顧客に対する安価で高品質なサービス提供を同時に実現した。同社の強みは、海外で再販できるものを有し、さらに現場の荷物の90%を自社で管理・分類できる一気通貫の体制にある。
廃棄から資源への転換を支えるリセール業界20年の審美眼
日本の遺品整理の現場から出てくる品々は、長年大切に扱われてきた高品質の物品が多く、東南アジア諸国では依然として、「Made in Japan」と「Used in Japan」への信頼が高い。伊知地氏は、これまで培ってきた中古品査定の審美眼を武器に、単なるモノの移動ではない、ストーリー性を持った商品展開をタイで実現している。具体的には、タイへの輸出事業において3~4カ月に1度のペースで40フィートコンテナを満載にして出荷する体制を構築。昨年は年間3本のコンテナ出荷を達成し、安定供給の基盤を整えた。今年はこれを月次出荷へと引き上げる体制構築を進め、事業規模の拡大を目指す。
当初は陶器などの生活雑貨が主流であったが、現在はより単価が高く、現地の購買層の趣味嗜好に合致したカテゴリへのシフトを戦略的に進めている。特筆すべきは、日本国内の現場で回収される釣具のルアーやテント、バーベキュー用品、ゴルフ用品、デジカメ・フィルムカメラといったアウトドアギアの需要だ。これらは、タイ国内の都市部で自然を求める層から高い評価を受けており、同社の供給体制が現地のレジャー市場を活性化させる一助ともなっている。
趣味品から文化の輸出へ パタヤを起点とするアジア進出
同社のタイにおける戦略拠点であるパタヤのリサイクルショップでは、日本人の役員が運営に関与することで、日本流の品質管理と現地のニーズを高度に融合させている。
現地のバイヤーからは、「日本のリサイクル品は、前の持ち主が丁寧に扱っていたことが状態から伝わってくる。特にカメラや釣具などの精密・趣味品において、日本から届くコンテナは『宝の山』だ」という高い信頼が寄せられている。例えば、ビンテージカメラの市場では、キヤノン「F-1」やマミヤ「RB67」といった名機が、日本国内の取引価格を凌駕する市場価値を背景にタイで取引されている事実は、日本の中古品がもつポテンシャルの高さを証明している。
伊知地氏は、現状の卸売りモデルに留まらず、将来的にはバンコクでの自社店舗展開や、ECサイトを通じたさらなる販路拡大を視野に入れる。また、単にモノを送るだけでなく、孤独死や空き家問題といった地域課題を解決する「日本式の整理技術」そのものをパッケージ化し、現地の社会インフラとして定着させるという構想も、同社の独創的なビジョンの1つだ。
福生市を拠点とする地域密着型の企業でありながら、その視点は常に、日本の「整理」を世界の「価値」へと変えるグローバルな地平を見据えている。(倉林義仁記者)
