【政治】トランプ氏からアヌティン首相に書簡 対米通商協定の早期署名を要請 交渉は最終段階

アヌティン首相は6日の閣議後、米国のトランプ大統領から書簡を受け取ったことを明らかにした。書簡は、関税などをめぐる協定に、可能ならトランプ氏のアジア訪問中に署名したいとする内容だという。首相府のエカポップ報道官が説明した。
首相は、スパチー副首相兼商務相に対し、交渉を続け署名の準備を進めるよう指示した。交渉は最終段階に入っており、首相と大統領の会談は、11月16〜18日にフィリピンで開く東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議、または11月18〜19日に中国で開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の場で実現する見通しだ。
この背景には、米国の関税政策における大きな変化がある。タイは当初、トランプ政権の「相互関税」で36%、のちに19%の税率を課された。しかし2026年2月20日、米連邦最高裁が、相互関税の根拠とされた国際緊急経済権限法(IEEPA)は大統領に関税を課す権限を与えていないと判断したことで、相互関税は効力を失った。米政権はその後、通商法301条(外国の不公正な慣行に対し、米通商代表部=USTR=が調査を経て制裁関税などを課せる規定)を使った関税に軸足を移す。タイには現在、強制労働で作られた製品の輸入を禁じる措置に絡む12.5%の関税がかかっている。
スパチー氏は9月5日、USTRのグリア代表らとの9月1日の協議で、相互貿易協定(ART)の主要条件について合意したと発表。強制労働に絡む関税は、輸入禁止措置を導入・実施すると約束した国に10%、そうでない国に12.5%を適用する仕組みで、タイはマレーシアやインドネシアと同じ10%を求めている。一方、米国は過剰な生産能力をめぐる調査も進めており、タイはこの調査の対象となる16カ国・地域に含まれる。ただ、こちらは税率がまだ決まっておらず、通商法301条に関する協定妥結前に追加関税が課される恐れも残る。
米国はタイにとって最大の輸出先で、両国間の貿易額は3兆バーツを超える。タイの対米輸出は2兆3700億バーツ、輸入は7000億バーツで、輸出が大きく上回る。この大きな貿易黒字こそが、米国の圧力を招く要因でもある。それでも同相は、通商法301条に関する協定妥結が40万人超の雇用を守るうえで重要だと話す。
