【貿易】タイ農産物輸出1〜9月は1.9%減 コメ16.6%減で高付加価値化が急務

タイ商務省貿易政策戦略局(TPSO)によると、2026年1〜9月の農産物・農産加工品の輸出額は399億2000万ドルで、前年同期比1.9%減となった。生産コストの高さと世界的な競争の激化が、主力品目の重荷になっている。
品目別では、ツナ缶が39億1000万ドル(同0.4%減)、天然ゴムが37億1000万ドル(同2.5%減)とほぼ横ばいに留まった。一方、コメは29億6000万ドルと同16.6%減、砂糖は18億9000万ドルと同21.8%減、キャッサバ製品は17億ドルと同28.4%減で、落ち込みが目立つ。
9月単月では、農産物・加工品の輸出が同2.5%増と2カ月連続のプラスだった。ただ内訳をみると、農産物が同8.1%増えた一方、加工品は同2.7%減。小麦製品や調製食品、油脂、冷凍魚、コーヒーなどが減少した。
対照的なのが工業製品だ。9月の輸出全体は384億4000万ドルと前年同月比で24%増え、過去最高を更新した。けん引役はコンピューターや集積回路などの電子部品で、国際通貨基金(IMF)はタイをAI関連機器の世界4大純輸出国の1つに挙げている。TPSOは2026年の輸出の伸びについて、15〜16%は達成可能とみる。
ランシット大学のアート准教授は、タイの農産物は価格が高く、同じ品目を輸出するベトナムとの競争が厳しいと指摘した。コメ輸出は7〜8カ月にわたって弱含んでいるという。そのうえで、原料のまま売るのではなく、加工して付加価値を高め、差別化した商品へ移ることが必要だと強調。米国や欧州、日本のような品質を重視する市場に向け、ブランドづくりや海外での販売戦略を強めるべきだと提言した。
タイで原料を調達する日系の食品・飲料メーカーにとっては、調達コストと供給の安定性を見直す材料となる。加工度の高い製品への転換が進めば、日本の技術や設備への需要が高まる可能性もある。
