タイの下院は9月10日、2027年度(2026年10月〜2027年9月)予算歳出法案を賛成338票、反対144票で可決した。ソポン下院議長のもと4日間にわたり審議が続き、この日は9つの条項をめぐって11時間にわたる討議が行われた。
今回の予算総額は3.88兆バーツ。国家経済社会開発評議会(NESDC)の試算では、2027年のタイ経済成長率は年1.7〜2.7%(中心値2.2%)になる見通しだ。世界経済の持ち直しが輸出や貿易を下支えする一方、国内では民間消費や投資の拡大も続くとみられている。
物価上昇率は0.5〜1.5%(中心値1.0%)、経常収支はGDP比1.6%の黒字になる見込みという。ただし中東情勢の長期化や主要国の貿易保護主義、気候変動といったリスクが、これらの見通しに影を落とす可能性もあるとされている。
注目されているのが、120億バーツの予備費だ。これは、エネルギー価格の急変動による影響を和らげ、経済と社会の立て直しにあてる名目で計上されたもの。クリーンエネルギーや再生可能エネルギーへの転換を後押しし、輸入エネルギーへの依存度を下げる狙いもある。この予備費は、生活支援策「タイ・チュワイ・タイ・プラス」の第2弾の財源としても活用される見通しだ。
予備費とは、あらかじめ使いみちを細かく決めずに、緊急時の対応や経済対策のためにとっておく予算のこと。今回はエネルギー価格の変動に備えた対策費として計上されており、電気料金や燃料コストの上昇に直面するタイ進出企業にとっても、今後の政府の追加対策の有無を左右する重要な財源となる。
