【経済】エクニティ副首相、新戦略「STI」で経済立て直しへ 3本柱打ち出す

タイのエクニティ副首相兼財務相は10月5日、タイ字紙『タイポスト』の創刊30周年を記念したフォーラムで講演。決まった国際ルールが通用しにくい不安定な世界経済の中で、タイ経済を動かす新たな戦略「STI」を打ち出した。
STIは3つの柱の英語の頭文字を取ったものだ。1つ目の「Stabilize Today」は、今日の安定を守ること。財政の規律と金融の安定を保ち、家計の借金問題に取り組む。中小企業の資金繰りでは、タイ中央銀行(BOT)と組んで債務整理の支援策を進める。国の借金の水準にも気を配る考えを示した。景気を支えながらも、財政を緩めすぎない姿勢をにじませた。
2つ目の「Transition Now」は、今すぐの転換を意味する。柱はクリーンエネルギーの導入を急ぐことだ。タイは石油や天然ガスの輸入額が国内総生産(GDP)の1割近くに達しており、エネルギーの海外依存が経済の弱点になっている。送電網を拡充し、国民が太陽光などで作った電気を売れる仕組みを整える。これにより家計の支出を減らしつつ、収入も増やせるという。
3つ目の「Invest for Tomorrow」は、明日への投資だ。機械や技術、新しいインフラへの投資を促し、働く人の技能を高める。手続きを早める「タイランド・ファストパス」や、人材育成の「スキル・ブリッジ」といった施策を挙げる。外国企業には、タイの中小企業との取引や、大学への技術移転を求めていく。
政府は7つの重点産業を定め、官民が連携して育てる方針だ。エクニティ氏は、STI戦略と官民の協力こそが、タイが新しい時代の難局を乗り切るカギになると強調した。
タイは10月12日から、IMF・世界銀行の年次総会をバンコクで開く。世界190カ国近くの財務相や中央銀行総裁が集まる場を前に、政府の経済運営の方向を内外に示した形だ。日系企業にとっては、電力コストや投資優遇の行方を占う材料になる。
