【経済】タイ鉱工業生産指数を改定 ゴールドマンはGDP上振れ予測もTDRIは慎重姿勢

タイ工業省工業経済局(OIE)が9月30日に発表した鉱工業生産指数(MPI、工場の生産量の動きを示す指数)の算出方法見直しを海外勢が好感している。米投資銀行ゴールドマン・サックスはリポートで、タイの成長率が上方修正される可能性を指摘した。
今回の見直しでは、ノートパソコンなどのコンピューター、光トランシーバー(光通信で信号を送受信する部品)、非常用電源装置といったハイテク製品を新たに加えた。この背景には、輸出が好調なのにMPIと設備稼働率が下がり続けるという矛盾がある。稼働率は2年連続で60%を下回り、米通商法301条に基づく過剰生産能力の調査も改定を後押しした。OIEは2026年のMPI予測を、従来の0〜0.5%増から2.75〜3.75%増へ引き上げている。
ゴールドマンは、2026年上半期の実質GDP成長率が2.4%から2.9%へ上方修正される可能性を指摘する。製造業はGDPの約4分の1を占め、国家経済社会開発評議会(NESDC)がその推計にMPIを用いているためだ。過去分も見直され、2025年は2.9%、2024年は3.1%に上振れする可能性があるという。ただ、中小企業向け融資が16四半期連続で縮小している点などを踏まえ、利上げにはつながらないと結論づけた。
一方、タイ開発研究所(TDRI)のノンナリット氏は慎重な見方を示す。MPIが測るのは「生産量」で、GDPが測る「付加価値」とは別物。輸入部材を多く使う製品が伸びても、国内で生まれる価値は限られるという。NESDCは生産、支出、所得の3面からGDPを確認するため、修正幅は大きくないと予想した。ゴールドマンも、伸びは光トランシーバーなど一部製品に偏ると分析する。改定には、輸入品を積み替えて輸出しているだけではないかとする「迂回輸出」の疑いを晴らす効果が期待されている。
