【経済】タイ成長率2.1%予測にFTI名誉会長が危機感 新たな成長エンジン急げ

タイ工業連盟(FTI)のクリアンクライ名誉会長は、タイ経済の成長の鈍さに強い危機感を示し、新たな成長エンジンづくりを急ぐよう政府に求めた。10月12〜18日にタイで開かれた国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会を受け、タンセタキット紙の取材に答えた。
総会でタイの2026年の成長率は約2.1%と紹介された。ベトナムの7.5%、マレーシアの5.2%、インドネシアの5.1%を大きく下回る水準だ。クリアンクライ氏は「問題は以前から分かっていた。肝心なのは、新しいエンジンを間に合うように見つけられるかだ」と語り、競争力が落ちる速さに比べて対策が遅いと指摘した。
総会では、世界的な「借金の膨張」への警告も目立った。同氏は政府債務が国内総生産(GDP)の約120%に達するフランスを例に挙げ、財政の余力がなくなれば教育などへの投資が難しくなると述べた。
政府と、商業・工業・銀行の3団体でつくる合同委員会(KorKorRor)は、「リインベント・タイランド」として7つの重点産業を掲げる。農業・食品加工、自動車、小売・商業、スマートエレクトロニクス、医療・ウェルネス、観光、クリエイティブ経済の7分野である。ただ同氏は、目標を決めるだけでは足りず、投資の拡大や技術の導入、人材育成を速く実行に移すことが欠かせないと強調した。
人材面では、少子高齢化で働き手の数に頼れなくなるため、生産性の向上が急務になる。自動化やAIを使いこなす力(AIリテラシー)を高める学び直しや、自分で考えて判断する力の育成が必要だという。さらに、行政手続きの簡素化や汚職の一掃を進めなければ、外国人投資家の信頼は得られないとクギを刺した。
人手不足と自動化への対応は、タイに生産拠点を置く日系企業にとっても共通の課題。政府が改革の速さを示せるかが、今後の投資判断を左右しそうだ。
