【社会】プラチンブリ県の水質汚染、工業相が全額補償を指示 郡長が住民交渉を仲介

タイ東部プラチンブリ県で、工場から流れ出たとみられる化学物質による水質汚染が住民の不安を広げている。ワラウット工業相は11月3日、移動閣議が開かれた東北部ウドンタニ県で記者団に対し、原因とされる事業者に、被害を受けた住民へ「1バーツ残らず」補償するよう求めたことを明らかにした。
工業省工場局は10月31日、川の水に加えて土の試料も新たに採取し、化学物質の濃度が増えているか減っているかを調べている。結果は2〜3日以内に判明する見通しだ。工業相は、水が引くほど川や水田に残った化学物質の濃度は高まると指摘し、残留物がある可能性を認めた。
補償を巡っては、住民側の代表が行政に仲介役を務めるよう求めていた。これを受けて県知事が郡長を仲介役に任命し、住民と事業者の話し合いを進める。被害の規模は商務省と天然資源環境省が調べる。首相も工業省と内務省に、連携して対応するよう指示した。工業省は東部5県で産業廃棄物処理工場への一斉検査にも乗り出している。
工業相はこの日、中国からの資金を受けてリサイクル産業を育てる計画にも言及。総額は37万5900ドルで、有害な廃棄物が持ち込まれる抜け道になるとの懸念が出ていたが、工業相は、書類で出どころと行き先が確認できる取引に危険はないと説明。本当に問題なのは、国境の抜け道を使った密輸や、コンテナに隠して申告を偽るケースだと強調した。タイに入るコンテナは1日に数万個に上り、全てを確かめるのは難しい。
プラチンブリ県には工業団地が集まり、日系を含む多くの工場が立地する。今回の汚染に日系企業が関わっているとの情報はない。ただ、工場と地域住民との関係が悪化すれば、規制の強化や操業への監視が厳しくなるおそれがある。排水や廃棄物の管理を改めて確認し、地域との対話を重ねることが、工場を安定して動かす土台となる。
