【IT】タイのデータセンター投資、2050年に5兆バーツへ PwCがAI需要予測

大手会計事務所PwCのタイ法人が、タイのデータセンター市場が今後も大きく伸びるとの見通しを示した。PwCが英調査会社オックスフォード・エコノミクスと共同でまとめた報告書によると、タイのデータセンターへの累計投資額は2027年の586億ドルから、2050年には1500億ドル、約5兆600億バーツに膨らむ見通しだ。
成長を引っ張るのは人工知能(AI)。データセンターは単なるデータの保管場所から、巨大なAIを動かす計算の拠点へと役割を変えつつある。加えて、データを自国内で保管・処理しようとする「デジタル主権」の考え方も、国内への投資を後押ししている。
投資の勢いは数字にも表れている。BOI(タイ投資委員会)によると、2025年のデータセンター投資は36件、総額7280億バーツに上った。2026年上半期のBOI投資申請は全体で1兆4730億バーツと前年同期比37%増となり、このうちデジタル産業が約1兆1200億バーツを占めた。
政府の政策も追い風となる。行政がクラウドの活用を優先する「クラウド・ファースト」方針に加え、再生可能エネルギー由来の電力を企業が選んで買える料金制度「UGT2」も始まった。発電事業者と利用者が電力を直接売買するダイレクトPPAも、ルールづくりが進む。
一方、PwCタイのナット・アッサディットサクン氏は、電力と水の確保を課題に挙げた。特にEEC(東部経済回廊)のように資源の需要が集中する地域では、計画なしに開発が進めば地域社会や農業に影響が及ぶおそれがあると指摘。送電網の整備や水の管理、立地や環境の基準づくりが欠かせないとした。
工業団地で電力や水を使う日系製造業にとっては、供給の逼迫が操業コストに跳ね返る可能性がある。半面、冷却や電力の設備、建設を手がける日系企業には大きな商機となりそうだ。
