タイで働く
査証(VISA)・労働許可証(WP)を取得する
タイに設立した(設立している)現地法人に日本人社員を駐在員として派遣する場合は、「査証(VISA)」と「労働許可証(Work Permit)」を申請・取得しなければなりません。この2つは相互に関連しており、どちらか一方ではタイで就労することができません。
ここでは、「非BOI企業の現地法人で新規申請」、「BOI企業の現地法人で新規申請」、「タイに同行する配偶者・家族ビザの新規申請」などについて、申請から取得までの流れを説明します。また、バンコク週報グループが申請代行の依頼を受けている企業の大半はバンコク都およびサムットプラカン県の企業です。自社のロケーションがどちらにあるかで申請方法などが異なりますので、その違いも簡単に触れておきます。
非BOI企業の場合(新規申請)
現在、VISA申請はオンライン申請のみとなっています。タイでの就労を目的とする場合は、「Non – Immigrant B」(雇用)を取得してください。タイ滞在可能日数は90日間ですので、この期間内に労働許可証申請・取得、および滞在ビザ延長申請までを完了させなければなりません。
【必要書類(抜粋)】
- 会社登記証明書(発行6カ月以内)
- 株主名簿(発行6カ月以内)
- VAT申告書
- 法人税申告書
- 社会保険申告書
- 個人所得税確定申告書
- 個人所得税源泉徴収書
- 会社組織図
- 会社所在地の地図
- 決算報告書(最新)
- 会社の業務内容
- 外国人社員の労働許可証コピー
- 英文の卒業証明書
- 英文の職歴証明書
- タイ国内発行の健康診断書
- 顔写真(3cm×4cm)
- その他
➤最終学歴の卒業証明書(英文)はタイ入国前に用意してください。また、 タイ入国後、国内医療機関で健康診断書を取得してください。
➤新設会社の場合、上記書類の一部が不要となりますが、最初の月次決算が終わらない限り、申請はできません。また、新設会社でWPを申請する場合、まずタイ人従業員を3カ月連続して雇用することが必要となるため、会社登記から約4カ月間、申請を待つ必要があります。
➤1年有効のWPを申請しても、書類不備などの理由で暫定的に6カ月有効の労働許可証しか発行してもらえないケースもあります。
➤タイの役所の認証もしくは領収証の添付が必要となる書類があるほか、業種や事業によっては追加書類を求められることがあります。
【必要書類(抜粋)】
- 会社登記証明書・営業目的(発行6カ月以内)
- 株主名簿(発行6カ月以内)
- 会社所在地の地図
- オフィス内外の写真(撮影場所等指定あり)
- 決算報告書(貸借対照表、損益計算書)・申告書(最新分)
- 法人税申告書(最新分)
- VAT申告書
- 個人所得確定申告書(最新分)
- 源泉徴収表(最新分)
- 個人所得源泉徴収書
- 社会保険申告書
- 外国人リスト
- TM30(居住登録)
- 顔写真(4cm×6cm)
- その他
➤新設会社は上記書類の一部が不要となるか、もしくはレターで代用することになります。また、役所の認証、領収証の添付が必要となる書類もあります。
➤申請が受理された場合、原則としてバンコクでは21日間、サムットプラカン県では30日間の審査期間が設けられ、就労ビザ期限日から起算して1年間の滞在が許可されます。
※タイ国内で転職する場合は同一日にWP申請・取得、VISA申請・取得を完了させることが必要です。詳細はお問合せください。
BOI企業の場合(新規申請)
BOIのオンラインシステムを通じて赴任者の役職(ポジション)(例:ゼネラルマネージャーなど)を申請します。所要日数の目安は3~7営業日ですが、申請した役職が拒否され、新たな役職で再度申請する場合は、1回につき3日間伸びることになります。ただ、一般的に2週間を超えることはありません。
BOI企業での就労を目的とする場合は、「非移民IB」(雇用BOI)を取得してください。
認可された役職に対し、就労する外国人の個人情報を提出し就労許可を申請します。所要日数の目安は3~7営業日ですが、書類の追加・修正を指示されるなどして再申請する場合は、1回につき3日間伸びます。ただ、一般的に2週間を超えることはありません。
➤英文の卒業証明書が必要となりますので、タイ入国前に用意しておいてください。
申請した役職で就労することが認可されると、BOIは労働省および入国管理局宛の推薦状を発行します。ここには、個人名、役職内などが記載されています。パーソナルリクエスト許可後、すぐに発行されます。
バンコク都内の複合商業施設「ONE BANGKOK」の「タイ投資・エクスパットサービスセンター(TIESC)」で同一日に申請でき、即日発行されます。ただ、予約が必要であり、申請者が多い場合はなかなか希望日に予約できません。3週間~5週間ほど先の予約となることもあります。
➤サムットプラカン県で登記した企業の駐在員もバンコクのTIESCで申請できます。サムットプラカン県内でも申請はできますが、その場合、別々の場所にある入国管理局と労働斡旋局の双方で手続きをすることになり、非常に手間がかかります。
家族ビザ新規申請(非BOI企業/BOI企業)
WP・VISAを取得する赴任者と同一のフライトでタイに入国する場合、申請の流れは赴任者本人と同じであり、一緒に申請できます。ただ、同一フライトでない場合、もしくは遅れて入国する場合は、赴任者がWPを取得してからでないと申請できません。滞在期間は赴任者のそれに連動します。なお、いずれのケースでもタイ入国前に戸籍謄本を取得しておいてください。
WP・VISAキャンセル
会社を退職する時、日本に帰任する時はVISAとWPを正式にキャンセルする必要があります。正式にキャンセルせずに退職、帰国した場合は、罰金が科せられるほか、次回、タイで就労する際にVISAの発給を拒否されることがあります。なお、バンコクとサムットプラカン県ではその流れが全く異なるので注意してください。
- バンコク
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- VISAをキャンセル(必要書類:個人所得源泉徴収税PND1)
- 21日間の猶予が与えれるため、期限までにタイを出国
- タイ出国後にWPをキャンセル
- サムットプラカン
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- WPキャンセル、VISAキャンセル、タイ出国をすべて同一日に行う。順番はまずWPをキャンセルし、その後、VISAをキャンセルします。必要となる書類は個人所得源泉徴収税申告書PND1(最終月)および個人所得確定申告書PND91(最終年)です。
リエントリパーミット(再入国許可)
再入国許可(リエントリーパーミット)を取得しないでタイを出国すると苦労して取得したVISAが例外なく失効します。リエントリーパーミットは入国管理局で申請できますが、サムットプラカン県支部で申請する場合は、外国人居住報告(TM30)が必要です(バンコク本部は不要)。なお、近年、バンコク本部は非常に混雑しており、申請から受取までに3~5時間程度かかることもあります。
スワンナプーム空港・ドンムアン空港から出国する場合、空港でもリエントリーパーミットを取得できます。ただ、空港で申請する場合は遅刻厳禁です。スワンナプーム空港の場合は、出国審査前に申請することができるため、仮に空港にギリギリに到着した場合、リエントリーパーミット申請者の状況を見て、フライトを諦めるか、VISAを諦めるかの選択肢があります。ただ、ドンムアン空港の場合、出国審査を通過した後、リエントリーパーミットを申請することになるため、ここが混雑していた場合は取得が間に合わず、かといってもう出国審査は終了しているため、VISAを諦めるしか選択肢がなくなります。ドンムアン空港のイミグレ係官によると、これまでにもリエントリーパーミットの取得が間に合わず、VISAを失効させる外国人が相当数いたそうです。そのため、長期ビザ所有者がドンムアン空港から出国する場合は事前にリエントリーパーミットを取得した方が無難かもしれません。
外国人居住報告(TM30)
外国人居住報告(TM30)は、外国人がタイ国内での居住(宿泊)地を報告したことを証明する書類です。対象者はタイに滞在するすべての外国人(観光・ビジネス・長期滞在含む)で、報告義務者は原則として、住居の所有者(家主)・ホテルの経営者・賃貸物件の管理者となります。ただ、コンドミニアムを購入した場合などは外国人本人が自ら提出することもできます。提出期限は外国人がタイ国内に新たに居住・宿泊した時から24時間以内。オンラインで提出するケースが多く、アカウント登録をした後、家主情報、物件情報、外国人情報などを入力します。
未報告の罰金は最大2000バーツの罰金が科せられます。また、90日レポート(後述)やVISA更新に支障が出る可能性もありますので、不動産管理会社を介して入居する場合にはTM30への対応を確認しておくといいでしょう。
90日毎の居住地報告(90日レポート)
90日以上連続してタイに滞在する外国人は、タイ最終入国日から90日毎に現住所を入国管理局に報告します。入国管理局の窓口で手続きをする場合は、最終入国日もしくは前回レポート提出日の15日前から7日後までとなります。その間に報告しない場合は罰金(2000バーツ)が科せられます。ただ、仮に警察などに指摘された場合、罰金額が5000バーツに上がる可能性もあります。。
2回目以降はオンラインでの提出もきますが、その場合は最終入国日もしくは前回レポート提出日の15日前から7日前までに報告しなければなりません。それを過ぎた場合は入国管理局で手続きすることになります。ただ、オンライン報告は受理はされるものの承認されないことが少なくないため、その場合は入国管理局に出向くことになります。窓口は常時混んでいるため2~3時間かかることがざらです。
パスポート切替申請
2025年3月24日の申請受理分から、旅券(パスポート)は偽変造対策を強化するため顔写真ページにプラスチック基材が使われ、国立印刷局で作成されています。これまで、日本国外では在外公館で作成していましたが、3月24日以降、作成は前出の国立印刷局で集中的に行われ、その後、海外に配送するため、在外公館では2週間~1カ月程度かかると公式発表されています。
海外在住者の場合、申請から発給・受取までの時間がかなり長くなるため、VISA更新時期には注意が必要です。以前は、在タイ日本大使館でパスポートの切替申請をした場合、受取は4営業日後でしたので、まずパスポート切替申請を行い、新パスポート受け取り後に旧VISAを転記し、その後、VISAを更新しても問題の起きることはありませんでした。しかし、パスポート切替申請が1カ月かかるとなると事情は変わってきます。ビザ更新時にパスポートの残存期間が6カ月であり、パスポート切替の時間的余裕もない場合は、苦労して書類を揃えて更新しても、滞在許可は1年ではなく、6カ月となってしまい、半年分損をします。パスポートは残存期間が1年を切れば切替申請できますので、早め早めの対応をお勧めします。
タイ・デジタル・アライバル・カード(TDAC)
5月1日から空路・陸路・海路を問わず、外国人旅行者はタイ入国前に「タイ・デジタル・アライバル・カード(Thailand Digital Arrival Card:TDAC)」への登録が義務付けられました。TDACは2022年7月2日から免除されていた外国人用出入国カード(TM6)に代わるものです。TDACのホームページ(https://tdac.immigration.go.th/arrival-card/#/home)を通じて、タイに到着する3日前から到着日までに個人情報や渡航情報などの必要情報を登録します。ただ、トランジットやトランスファーなどタイの入国審査を受けない外国人は登録の必要がありません。タイ入国管理局の公式フェイスブックのページ(下記)には日本語動画マニュアルも公開されています。
https://web.facebook.com/watch/?v=9462047113870956&rdid=DZObCCPeYYHXfV4U
登録完了後、申請完了書をダウンロードし、これをスマホに保存するか、もしくはプリントして、タイ入国時、イミグレ担当官に提示します。なお、全項目記入が完了しプレビュー画面に移行した後、下部にEメールアドレスを記入しますが、このメルアドにも申請完了の確認メールが届きますので、このメールをイミグレ担当官に提示することもできます。
タイ入国時までに登録が完了していない場合は、入国審査場への通路に設置されたオンライン機器(スワンナプーム空港は6機)を利用するか、自身のスマホで入力することになります。入国前のバタバタを避けるためにも事前のTDAC登録は忘れないようにしてください。
E-VISA申請
2025年1月1日からタイ入国前にタイVISAを申請する場合、すべてオンライン申請となり、在外公館の窓口では申請できなくなりました。詳しくは以下のサイトをご覧ください。
https://site.thaiembassy.jp/jp/visa/about/13050
https://www.thaievisa.go.th