ホテルの鬼人座像に批判集中 バンコク都知事に撤去要請も
バンコク都チャトゥチャク区のザバザール・ホテルの敷地内にある不気味な座像が不評を買っている。すぐ前を走る大通りのラチャダピセーク通りからも見える高さ4メートルあまりのこの座像は、背に翼を持ち、口から2本の牙をはやし、手足の指の爪が赤くぬれられた漆黒の鬼人の様相を呈していて、悪魔信仰を助長するなどの批判的な声が出ていた。
このような理由から市民団体の仏教普及芸術家評議会(宗務局公認団体)がこのほど、ホテル側に対し、多くの人の目に触れる場所にこのような像があるのは好ましくないとして座像の移転を要求した。
クルーカイケーオと呼ばれるこの座像の人物は、カンボジアのクメール王朝の国王、ジャヤーヴァルマン7世の時代の宗教指導者と言われているが、歴史学者からは、「そのような指導者がいたとは聞いたことがない」との指摘も出ている。
8月17日には別の市民団体、全国タイ市民評議会(NTPC)がタイの文化やタイ人の信仰心を傷つける恐れがあるとして、この座像を人目につかない場所に移転するようチャチャート・バンコク都知事に要請した。
この座像は8月9日に西部ラチャブリ県の工房からトラックに積まれてバンコクまで運ばれてきたが、その際、ラチャダピセーク通りの歩道橋の下をトラックが通過できず、一帯が約2時間わたって渋滞している。