カドミウムを含む尾鉱1万トンが精錬工場から紛失 サムットサコン県
タイ工業省が、バンコク西隣サムットサコン県の精錬工場にあるはずのカドミウムを含む尾鉱1万トン以上が存在しないことから、その原因を突き止めようとしている。尾鉱とは鉱山活動で出る残滓のことで選鉱くずとも呼ばれている。あるはずのカドミウムを含む尾鉱が紛失していることは先ごろ、ピムパトラ工業相らが精錬所を視察して判明した。
工業相によれば、昨年8月に西部ターク県の業者が尾鉱1万3450トンをサムットサコン県に運搬する許可を地元当局から得ていたが、サムットサコン県の精錬所には尾鉱は2440トンしかなく、約1万1000トンが行方不明状態となっている。カドミウムは環境汚染を引き起こしやすいため、カドミウムを含む尾鉱が埋め立てなどに使われていた場合はその地区の住民に健康被害が及ぶ可能性が高い。
なお、鉱物中や土壌中などに天然に存在する重金属であるカドミウムは、それを高濃度に含む食品を摂取することなどで健康被害を引き起こすことが知られている。