【経済】タイ中銀が25年成長率減速を予測 輸出・観光などに陰り
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タイ中央銀行は、2025年後半から来年にかけての経済成長が潜在成長率(中長期的に持続可能な経済成長率のこと)を下回ると警告した。8月13日の金融政策委員会議事録によると、減速要因は輸出、製造業、観光、個人消費の4分野に集中する。
米国の高関税政策によりタイからの輸出は直接・間接的に打撃を受ける見通し。特にタイを迂回する輸出品に最大40%の関税がかかる可能性があるため原産地規則の厳格化は避けられず、輸出基地としてのタイの魅力軽減にもつながりかねない。製造業も競争激化に直面し農業・食品加工業など雇用の多い業種で構造変化を余儀なくされそうだ。
観光も短距離客の減少で伸び悩んでいるほか、最大の顧客である中国人旅行者は前年比30%減。高額消費の長距離客が支えとなるが、恩恵は高級ホテルなど一部大手に偏る。国内消費と投資は、輸出低迷による労働所得の伸び悩みで縮小が予測され、特に自営業者への影響が顕著となりそう。
タイ中銀は中小企業の脆弱性から債務返済能力や信用供与への制約が強まる可能性を指摘する。日本企業にとっても、需要減少と競争環境の悪化を踏まえ、リスク対応力が問われる局面となる。
