【食品】CP Axtraが食品会社を100%買収 域内供給網と収益基盤を強化
CP Axtra傘下のSiam Food Serviceは、マレーシアで「Lucky Frozen」ブランドを展開する持株会社Renewed Hope Pte. Ltd.の普通株式を100%取得した。対象はホテル・レストラン・小売・卸向けの輸入・製造・流通事業で、Makro/Lotus’sを擁する同社の卸売事業の重点領域に合致する。
今回の買収により、フードサービス網はアジア太平洋・中東の7カ国20都市に広がり、商品開発とコールドチェーンの統合でスケール効果を見込む。とりわけ価格弾力性の高い外食需要に対し、調達・加工・在庫と販路の一体最適化により粗利率の安定化が期待できるとする。
統合の柱は①域内食品リーダーとしての地位強化、②ホスピタリティ向け高付加価値SKU(Stock Keeping Unit)の拡充、③原材料・物流のボラティリティ抑制、④マレーシア小売の成長取り込みとなる。品質・ガバナンス面ではHACCP等の認証維持、温度管理の監査証跡、原産地表示の厳格化、アレルゲン管理の標準化が不可欠となる。
サプライヤー側にとっては、同社の広域販路を活用できる一方、納期遵守と品質KPIのハードルが上がる。また、日系食材メーカーは、高付加価値品の共同開発や現地加工の最適地選定を通じ、需要の多様化(冷凍・時短・健康志向)に合わせた提案する場が拡大する。
一方、課題としては、在庫と受注のIT統合、物流拠点の再配置、為替(リンギット・バーツ・米ドル)のヘッジ方針、需要予測モデルの共通化が挙げられる。短期的には在庫積み増しによる運転資金の増加も想定されるため、与信・回収の指標管理を強化することが必要となる。また、中期では、東南アジアの観光回復と外食の回復基調を追い風に、メニュー多様化と健康志向に対応するSKUの絞り込みも収益を左右することになる。
