【経済】バーツ急騰で規制当局に対応要請 輸出と観光の競争力低下を懸念
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タイの通貨バーツが4年ぶり高値圏に急伸しており、規制当局に「過度の変動抑制」を求める声が高まっている。9月9日午前には1米ドル=31.58バーツまで上昇し、年初来で約7.5%高となった。この背景には、米利下げ観測によるドル安、域内通貨高のほか、安定化した国内情勢を映す債券市場への資金流入があり、直近2日で流入は約100億バーツに達した。
民間側は「過度な通貨高は実体を映さず、輸出・観光・農業を直撃する」と警戒する。輸出は相対価格が上がり受注が削られ、観光は旅行費が割高となる。農産にとっても収穫期の価格形成に逆風となる。輸出現場では、1ドル=32〜33バーツで想定していた採算が31台では逆ザヤになり、SMEほどヘッジ手段が限られる。1バーツの変動でも受注規模によっては数千万円相当の損失となる。タイ中央銀行は「変動抑制に必要な措置を講じる用意がある」としつつ、市場機能の維持と歪み回避を両立させる方針だ。
また、金相場の上昇が為替に与える影響も指摘され、〈金売却→外貨取得→バーツ転換〉というフローが通貨高を増幅させている面もある。
