【物流】タイとカンボジア国境紛争深刻化 企業と労働市場に大打撃
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7月に激しい衝突が発生したタイとカンボジアの国境紛争は、貿易と企業活動に大きな影響を与えている。7月の国境貿易は輸出が前年同月比97.5%減の3億7000万バーツ、輸入は99.8%減の600万バーツにまで縮小した。
カンボジアに進出したタイ企業は投資回収が難しく、新規計画を控える傾向が強まっている。労働集約型産業は撤退することが難しいが、金融やサービス業の撤退判断が比較的容易とされる。ただ、経営者団体は「地元社会や政府との関係を悪化させたくない」として公の発言を控えている。
タイ国内の労働市場への影響
紛争により数千人規模のカンボジア人労働者が帰国し、タイ国内の一部業種で人手不足が生じた。政府は短期的措置として就労許可を延長し、ミャンマーやラオスなどからの労働者で補っている。さらに一部企業は自動化投資を前倒しし、労働力依存の軽減を急ぐ。
長期的には、タイ企業がカンボジアから撤退し、ベトナムやインドネシア、バングラデシュなど他国への移転を進める動きも出ている。国境紛争が長引けば、タイの域内投資戦略そのものが見直されかねない状況だ。
