【貿易】9月21日は「タイ漁業の日」 乱獲でタイ周辺漁獲量は30年で半減
広告
9月21日は「タイ漁業の日」と指定されており、水産資源の重要性と漁業者の役割を再確認する日となっている。漁業は輸出産業の一翼を担っており、2024年の輸出額は15億4496万ドル(約541億7100万バーツ)と前年比1.29%増を記録した。主要輸出先は中国23.5%、日本18.9%、米国14.2%などである。
しかし2025年1~4月の輸出額は15億6540万バーツにとどまり、前年同期比で1割超の減少となった。特に中国向けは20.1%減と厳しい。
世界市場からの圧力
タイはかつてEUから違法・無報告・無規制(IUU)漁業問題で「イエローカード」を受けた経緯があり、現在も厳格な監視下にある。さらにEUグリーンディールや炭素国境調整メカニズム(CBAM)により、加工工場は再生可能エネルギーやカーボンフットプリント削減への投資を迫られている。
加えて、乱獲によりタイ周辺の漁獲量は30年で半減。水産資源保護は喫緊の課題であり、養殖モデルへの移行が求められている。
新たな成長機会
一方で、閉鎖循環式養殖やAIによるスマート養殖、ブロックチェーン追跡など新技術の導入により「アクアテック」(AquaTech:水産×テクノロジー)市場が拡大。国際的な環境認証を取得すれば、高付加価値市場への参入も可能だ。
タイは世界有数の水産物輸出国であり、持続可能なグリーン&デジタル漁業に転換できれば、輸出競争力を高めると同時に将来の食料安全保障にも貢献できる。漁業の日は、その課題と可能性を示す節目となっている。
