【貿易】タイとEUのFTA交渉第7回へ、政府調達や知財などが焦点に
タイ商務省貿易交渉局(DTN)は、インドネシアとEUの自由貿易協定(FTA)妥結がタイとの交渉には影響することはないと強調した。タイとEUの第7回交渉は9月29日から10月3日にかけてブリュッセルで行われる予定。
チョティマDTN局長によれば、全24章のうち7章がすでに妥結済みであり、今回の協議では政府調達、国有企業補助、競争政策、知的財産、持続可能な貿易などが議題となる。タイは当初2025年12月25日までの妥結を目指していたが、詳細の複雑さから来年前半にずれ込む見通しだ。
ASEANでの動き加速するEU
EUはすでにベトナム、シンガポールとFTAを締結しており、23日にはインドネシアとも署名する予定だ。フィリピンやマレーシアとも交渉を再開しており、インドとの協議も視野に入れている。ASEAN域内での動きが加速するなか、タイは「遅れは取っていない」と強調する。
タイ商工会議所大学のタナワット学長は「EUはASEAN諸国と二国間FTAを進めており、タイも同等の地位を確保できる」と指摘した。EUはタイにとって中国、米国、日本に次ぐ第4の貿易相手である。2024年の双方向貿易額は435億ドルで、全貿易の7.17%を占めた。輸出は242億ドル、輸入は193億ドルであり、主要輸出品目はコンピュータ、ゴム製品、自動車部品など。また、輸入は機械、医薬品、化学品、航空機部品が中心となっている。
今年1~4月の貿易額は143億ドルで、輸出84億ドル、輸入59億ドル。輸出の柱である電子製品や自動車部品は引き続き堅調だが、米国の輸入関税変更が影響する可能性もある。
タイ側交渉団は「政権移行期でも交渉は継続する」と説明し、政治日程に左右されない姿勢を示す。タイ政府はFTAを経済戦略の柱と位置付け、欧州市場での競争力確保を目指している。
