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【経済】タイ株は1300台回復 政権安定と外資流入で上昇基調を維持

9月に入りタイ株式市場は反発基調を強めており、SET指数は1300ポイント台を回復した。銀行、商業、観光、電子、エネルギー株が買われ、外国資金の流入も支えとなっている。アナリストは「政権発足による政治安定が投資家心理を改善した」と分析する。

外国資金の動向

タイ証券取引所(SET)のデータによれば、2025年1~8月の外国人投資家による取引は260億バーツの買い越しとなった。米国の利下げ観測やドル安傾向が新興国市場への資金流入を後押しし、タイ市場もその恩恵を受けている。特に銀行株やエネルギー株が資金の受け皿となり、時価総額の大部分を占めるブルーチップ株が市場を牽引した。

一方で、金価格の高騰やバーツ高、カンボジア国境での緊張といった地政学リスクは懸念材料として残る。アナリストは「1330~1350ポイント台の持続は難しい」としながらも、「調整局面は健全」との見方を示した。

業種別の動き

観光株は入国者数の増加を背景に堅調である。タイ観光庁によると、2025年1~8月の外国人観光客数は2,350万人を超え、前年同期比で18%増加した。観光関連株は短期的な収益改善が期待され、特にホテル運営企業が注目を集めている。

小売株も消費刺激策の恩恵を受けており、政府が検討する「半額補助制度」や付加価値税減免が業績を下支えする見通しである。エネルギー株は国際原油価格の上昇を背景に買いが集まり、電子株は輸出回復への期待から堅調に推移した。

政策要因と市場期待

新内閣は9月末に政策演説を予定しており、消費刺激やインフラ投資が重点分野に据えられる見込みである。市場関係者は「財政赤字拡大を抑制しつつ成長戦略を打ち出せるか」が焦点と指摘する。

タイ中央銀行は利下げ余地を残しているが、インフレ率が3%前後で推移するなか、金融緩和には慎重である。外資流入が続けば通貨バーツ高が進み、輸出競争力を損なう懸念もある。

ASEAN域内比較

ASEAN域内では、ベトナム株式市場が製造業輸出の拡大を背景に年初来15%上昇し、シンガポール市場も堅調である。一方、タイ株は年初来で横ばい水準にとどまっており、出遅れ感が指摘されていた。今回の反発は相対的に割安感が評価された面も大きい。

国際投資家は「タイ市場の回復は政治安定と改革の実効性次第」とみており、資本市場改革や公共債務対策が進むかどうかが中期的な注目点となっている。

今後の展望であるが、短期的には観光回復と消費刺激策が株価を下支えするが、外需の不透明感は残る。米国の金融政策や中国経済の動向に左右されやすく、外国資金の流れが相場を大きく動かすと予想される。

アナリストは「安定政権の下で市場改革が加速すれば、SET指数は1400台を試す可能性もある」と指摘する。ただ、財政健全化と成長戦略の両立を示せなければ、反発は一時的に終わるリスクもある。

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