【社会】タイと日本がコールセンター詐欺対策で協力関係強化 大阪で意見交換
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タイ警察は日本の警察当局と協力し、国際的に広がる電話詐欺や人身取引といった越境犯罪の取り締まりを強化する。タイ中央捜査局(CIB)のジラポップ警察中将が率いる代表団は、9月16日から21日まで大阪を訪問し、大阪府警や警察庁関係者と意見交換を行った。
今回の会談では、コールセンター詐欺や人身取引の広域的な拡散を防ぐため、両国間で情報共有を強化することで一致した。CIBは日本側の要請に応じてタイ国内の容疑者追跡を支援し、犯罪データの交換も実施する方針だ。また、日本の先進的な監視システムやデジタル鑑識技術のタイへのの導入を検討することになった。
大阪府警が活用するAI搭載の防犯カメラや高度な緊急通報システムは、異常行動を即時に検知できる点で注目を集めた。こうした技術はタイ国内の都市治安管理にも応用が期待される。ジラポップ中将は「日タイ両国が技術と情報を結集することで、犯罪組織の活動を抑止できる」と述べた。
両国の協力は今回が初めてではない。過去にはヤクザと関係する日本人がパタヤで不法滞在しているとの情報を日本から受け、CIBが迅速に捜査を行い逮捕・送還した事例がある。こうした相互支援は、国際刑事共助条約(MLAT)の枠組みの下で実施され、証拠は日本の裁判でも使用された。
タイ国内では2024年に電話詐欺の被害件数が前年比で12%増加し、被害総額は120億バーツを超えたと内務省が報告している。特にオンライン決済や暗号資産を悪用した新手口が拡大しており、警察当局は日本との連携を通じて国際犯罪ネットワークの遮断を急ぐ。日本側もまた、タイを拠点とする詐欺グループの摘発に高い関心を示している。
