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【不動産】中古住宅市場がタイで急拡大 第2四半期の販売件数は前年比34%増

景気回復が遅れる中で、中古住宅市場が顕著な拡大を見せている。タイ住宅金融公社(GH Bank)傘下の不動産情報センター(REIC)の統計によると、2025年第2四半期にタイ全国で売りに出された中古住宅は18万9382件、前年同期比34.6%増となった。物件総額は7585億200万バーツで、前期比プラス26.4%と大幅に増加した。

REICは「消費者がコストパフォーマンスを重視し、好立地で手が届く価格帯の物件に需要が集中している」と指摘する。特に750万バーツ未満、なかでも100万バーツ以下の物件で供給が大きく増えている。

低価格帯物件が市場を牽引

第2四半期の取引全体のうち、100万バーツ未満の中古住宅が35.1%を占めた。住宅タイプ別では一戸建てが44.1%と最多であり、依然として主要な供給分野となっている。一方で、750万バーツ超の高額物件は市場規模の54.5%を占めるものの、前年同期比で件数・金額ともに減少した。

コンドミニアム市場は、件数は前年同期比で11.2%増加したものの、取引総額は15.6%減少した。供給される物件の価格が下がったためで、平均販売価格は2024年第2四半期の600万バーツから、今年は430万バーツへと下落した。

ただ、住宅全体の所有権移転件数は前年同期比で8.6%減少したが、前期比では18.2%増加しており、不動産市場にとっての明るい材料ともなっている。

金融政策と減税措置が追い風に

市場のけん引役となっているのが低金利と政府の税制優遇策だ。タイ中央銀行は2025年に政策金利を3度引き下げ、現在は1.50%。これにより住宅ローンの負担が軽減され、購入意欲を後押ししている。さらに、2026年半ばまで継続される登記・抵当権設定手数料の減免措置も、需要喚起に寄与している。REICは「金融緩和と税制優遇は、中古住宅市場にとって重要なポイント」と指摘する。

今後の見通しであるが、第2四半期末時点での売り出し物件数は18万9382件、総額7585億200万バーツに達した。下半期も政府の政策効果が継続することで、取引件数の増加が期待される。特に「好立地かつ割安」の多い中古住宅が実需層の需要を支え続けるとみられる。中古住宅市場は新築に比べ柔軟性が高く、今後もタイの住宅市場全体の安定化に寄与することが見込まれる。

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