【経済】タイ中銀がデジタルバーツ試験導入拡大 中小企業や個人消費者も対象に
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タイ中央銀行(BOT)が中央銀行デジタル通貨(CBDC)のパイロット事業を拡大し、実店舗での一般消費者利用試験を進めている。これまで金融機関や大企業に限定されていたが、2025年後半からは中小企業や個人消費者も対象となった。
BOTは決済効率化と取引コスト削減を導入目的に挙げる。利用者はQRコードを通じてCBDCで支払いができ、従来のPromptPayと同様の利便性を享受できる。さらにブロックチェーン技術を用いた高い安全性も強調されている。
BOTは「CBDCは既存の銀行口座やモバイルバンキングを代替するものではなく、選択肢を広げるもの」と説明する。だが、金融機関や消費者団体は「個人データ保護や利用監視で懸念が残る」と指摘する。
国家経済社会開発評議会(NESDC)は、CBDC普及が進めば中小企業の資金決済が迅速化し、国際送金コストも引き下げられると評価する一方、サイバーリスク管理の重要性を強調する。
タイはすでに香港・中国・UAEとクロスボーダーCBDC実験「mBridge」に参加しており、域内貿易決済の効率化を視野に入れる。BOTは「年内に利用者アンケートを実施し、本格導入の可否を検討する」としている。
