【経済】世銀がアジア成長の減速を予測 タイの課題は輸出の持続的回復
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世界銀行は10月7日に発表した「東アジア・太平洋経済アップデート」で、アジア全体の経済成長は2025年以降減速するとの見方を示した。理由として消費や企業投資の低迷、新規輸出受注の鈍化などを挙げた。その一方で、タイの2025年成長率予測は従来の1.6%から2.0%へと上方修正された。ただ、2026年は1.8%で据え置かれた。
報告書によれば、中国の2025年成長率は輸出の伸び悩みや公的債務増加を背景として4.2%に減速する見通しであり、中国の減速は周辺諸国にも影響を及ぼすと分析している。東アジア・太平洋地域全体では2025年の成長率を4.4%とし、前回予測から0.2ポイント引き上げたが、2026年は4.5%の見通しを維持した。
世界銀行はまた、インドネシアやタイでの政治的不確実性、世界的な通商摩擦の激化、政策の不透明さが企業の投資判断を慎重にさせていると指摘。実際に多くの企業が「様子見」を選び、設備投資を延期または縮小しているという。
タイ経済については、国家経済社会開発評議会(NESDC)が2025年の通年成長率を2.5〜3.0%と予測しているが、世界銀行の見通しはこれより控えめ。タイ中央銀行(BOT)は個人消費や観光回復を支えに緩やかな成長を見込むが、輸出の持続的回復は課題となっており、世銀はこの点を不安視する。
また、米国の経済政策の急変が世界的な不安定要因となっており、アジアの輸出主導型経済がその影響を強く受け、9月の中国統計では工業生産や小売売上が1年ぶりの低水準となった。
世界銀行は各国に対し、短期的な財政刺激に依存するのではなく、構造改革を通じて持続的な成長基盤を築くべきだと提言した。
