【経済】タイ政府が個人の不良債権買い取りへ 基金から100億バーツ拠出
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タイ政府は個人向け不良債権(NPL)の救済に向けて約100億バーツを拠出し、債務を買い取る計画を明らかにした。エクニット財務相によれば、買い取った債務はバンコク商業資産管理(BAM)とスクムビット資産管理(SAM)の2社に移管され、これを再編することで国民の返済負担を軽減する。
政府は金融機関開発基金の未使用資金から100億バーツを「個人債務買い取りプログラム」の予算に充てる。買い取りは割引価格が適用されるため、銀行の貸借対照表への影響は限定的とされる。
当初は新たな資産管理会社(AMC)の設立も検討されたが、時間がかかることから既存の国営AMCが担うこととなった。債務買い取り後は返済期間の延長や条件緩和を行い、債務者の返済能力を回復させる。さらに将来的には新たな信用供与が可能となるよう、債務者の金融力強化も図る方針だ。
タイ中央銀行(BOT)が指摘するように、家計債務はGDP比90%超と依然として高水準にあり、持続的な経済成長の妨げとなっている。政府は不良債権の処理を通じて家計の健全化を進め、個人消費の下支えにつなげたい考えだ。
なお、今回の不良債権対策は政府が掲げる4カ月間の重点政策の柱の1つ。このほかの政策は以下の通り。
- 共同負担型の消費刺激策「コンラクルン・プラス」
- 中小企業への信用保証制度(総額500億バーツ)
- オンライン宝くじ購入者向けの退職貯蓄口座制度
- バイオ農業、AI、データセンター、EV産業など次世代分野での人材育成支援(BOI競争力強化基金100億バーツを活用)
