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【政治】タイ軍が国境地帯の対人地雷を全面除去 地域安全確保に一歩前進

タイ軍は10月10日までに東部サケオ県コークスーン郡バーンノンヤーケヤおよびバーンノンチャンの計3万8256平方メートルのエリアにおいて、装甲ブルドーザーを用いた対人地雷の完全除去作業を完了した。今回の作業は、タイ領内に居座っていたカンボジア人住民の退去期限が過ぎた後に実施されたものであり、カンボジア人の住民の一部が反対の声を上げる中で進められた。

タイ・カンボジア国境地帯では、1970年代後半から1980年代にかけての内戦期に埋設された地雷が現在も多く残存している。タイ陸軍によれば、同県だけで推定6000カ所以上に地雷が埋められていたとされ、これまでに大部分が除去されたものの、完全な安全宣言には至っていなかった。今回の除去完了により、サケオ県の危険地域の約9割で安全が確保されたことになる。

タイ陸軍参謀本部の地雷除去センターは、国連地雷対策サービス(UNMAS)およびカンボジア地雷対策センター(CMAC)と連携し、除去作業を段階的に実施してきた。特に、国境に隣接するコークスーン郡では、住民の農地拡張や道路整備が進む中で、地雷による事故が依然として年に数件発生していた。2024年の統計では、全国で地雷関連事故は17件、死傷者は計9人に上っている。

アヌティン首相は今回の除去完了を受け、「国境地域の平和と安全を確保し、農業や観光の再開発を後押しする大きな一歩である」と述べた。タイ政府は今後、地雷跡地を含む国境地域の再利用計画を策定し、2026年までに地雷ゼロ国家を達成する目標を掲げている。また、国防省では、今後も残る未確認地帯での探査を継続し、周辺住民の安全教育を強化する方針だ。

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