【三面】パトゥムタニ県の住宅街でガス爆発事故 20世帯が避難 8人死傷
バンコクの北隣に位置するパトゥムタニ県ムアン郡(県庁所在地)でこのほど、連棟式の低層集合住宅(タウンハウス)でプロパンガスが爆発する事故が起き、火元となった住宅の家主女性(64)が死亡、さらに7人が負傷した。現場には消防車と救急隊が出動し、約40分後に鎮火が確認された。
県警と消防当局によると、出火原因は屋内のガスボンベ接続部分の老朽化による漏えいとみられている。爆発は午前中に発生し、周囲の住宅10棟以上が損壊。近隣の住民は「突然、雷のような爆音が響き、窓ガラスが吹き飛んだ」と供述している。
事故後、エネルギー省と地方行政局(DLA)の合同調査チームが現場を検証。初期分析によれば、住宅街で使用されていたガスボンベの一部は定期検査期限を超過しており、安全バルブの欠損や不適切なゴムホース接続が見つかった。タイでは家庭用プロパンガスの再充填・販売を行う事業者に対し、法令で5年ごとの容器検査が義務づけているが、実際には小規模業者や個人住宅での安全管理が不十分な例が多い。
パトゥムタニ県当局は、事故を受けて全域のガス販売業者への立ち入り検査を開始。タイ産業安全局(TISI)は、「今後は家庭用ガス設備の安全基準を強化し、違反業者には営業停止を含む処分を行う」と声明を出した。
エネルギー政策計画局(EPPO)の統計によると、タイ国内でのガス関連事故は2024年に48件発生し、死傷者は計67人。特に都市部では住宅密集地での爆発事故が相次いでおり、国民生活センターは「ボンベ交換時には製造年月日と安全マークを確認すること」を呼びかけている。
今回の爆発では、現場周辺の住民約20世帯が一時避難を余儀なくされ、県庁は被災者に対して1世帯あたり5000バーツの緊急支援金を支給する方針を発表した。アヌティン首相は記者団に対し、「再発防止のため、地方自治体と中央政府が協力して安全基準を徹底する」と述べた。
