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【投資】タイ投資委員会 過去2年の未承認案件を加速承認 「4カ月で審査完了」

タイ投資委員会(BOI)は10月14日、承認が遅れている大型投資案件を対象に、4カ月以内に審査を完了する「承認加速プログラム」を実施すると発表した。対象となるのは、過去2年間で申請済みながら未承認の案件で、総額は約3000億バーツに上る。

ナリットBOI事務局長は、「手続きの遅れはタイの投資競争力を損なう要因。デジタル審査体制を導入し承認プロセスを刷新する」と述べた。これにより、企業はオンラインで申請状況をリアルタイム確認できるようになり、数カ月を要した承認が最短30日で完了する見通しという¥。

滞留案件の内訳は、製造業(35%)、再エネ・環境関連(22%)、デジタル・半導体分野(18%)、その他(25%)となっている。BOIによると、世界的なサプライチェーン再編の影響で投資申請が急増し、審査能力を超えていたという。特に、EV・バッテリー、医療機器、デジタル部品など新興産業での申請が集中した。

BOIはまた、外国投資家向けの「Fast Track制度」を年内に導入する方針。これは、投資額100億バーツ以上または雇用1000人以上を伴う案件に対し、関係省庁の審査を同時並行で行う仕組みだ。従来は各機関が順次承認していたため、全体で平均120日を要していたが、新制度では平均60日に短縮できる見通し。

2025年上半期の外国直接投資(FDI)認可額は前年同期比14.6%増の4020億バーツ。うち日本企業が全体の19%を占め、次いで中国(17%)、シンガポール(13%)の順となる。BOIは「手続きの迅速化と透明性の向上が、タイへの新規投資を呼び戻す鍵になる」と強調した。

今回の改革は、タイがASEAN域内でマレーシアやベトナムと競合する中で、 “投資承認のスピードで勝つ”ことを目指したものと言える。

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