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【物流】中国大手がレムチャバン港2ターミナル取得 デジタル・自動化を加速

中国国有大手COSCO Shipping Ports(CSP)は10月14日、タイ最大の港湾レムチャバン港で運営される2つのコンテナターミナルの持分取得を完了したと発表した。総投資額は約1億1000万ドル。

CSPはタイ東部経済回廊(EEC)における物流ハブ事業を強化する。同社は、レムチャバン港CターミナルとA3ターミナルの株式をそれぞれ49%および35%取得。残りの株式はタイ港湾公社(PAT)および現地パートナーが保有する。CSPは香港上場の世界有数の港湾運営会社で、今回の取得により世界38カ国・190港で展開するネットワークにタイが正式に加わることになった。

レムチャバン港はチョンブリ県シラチャ地区に位置し、年間取扱貨物量は約850万TEU。EEC地域の輸出入の約80%を担う戦略港湾である。EEC事務局によると、2025年中に第3期拡張工事が完了し、取扱能力は年間1800万TEUに倍増する見込み。今回のCSP参入は、港湾運営の高度化と国際競争力強化を目的とした官民連携(PPP)計画の一環という。

CSPの張威CEOは「レムチャバン港はASEANと中国、欧州を結ぶ海上物流ネットワークの要所であることから、デジタル化と自動化技術導入が必須」と述べる。CSPは2026年までに自動搬送車(AGV)やAI制御クレーンを導入し、港湾の24時間稼働体制を構築する予定。また、温室効果ガス排出を30%削減するため、電動機器と再エネ電力を順次導入する。

タイ港湾公社(PAT)は「今回の投資は国家物流効率の向上につながる」と歓迎。タイ政府はEEC内の港湾・空港・鉄道を連結する「ランド・ブリッジ構想」を推進中であり、チャオプラヤ川河口港との接続により輸出入リードタイムが30%短縮できる見通しだ。

タイ投資委員会(BOI)は、港湾ロジスティクス関連投資を「国家戦略産業」と位置付け、税制優遇と土地リース期間の延長(最長99年)を認める方針。これにより、EECは製造・物流両面でのハブ化を加速する。

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