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【車両】BYDがタイ政府にEV優遇策延長を要請 国内販売低迷に懸念

中国電気自動車(EV)大手BYDはタイ政府に対し、現行のEV優遇制度「EV3.5」の延長を求めた。BYDオート・タイランドのシャオ・ハイピン管理部長は、「制度が2027年で終了すれば業界の勢いが途切れる。新たな『EV4.0』が必要だ」と述べ、継続支援を要請した。

EV3.5は2024〜2027年の期間に車両輸入補助や法人税減免を行う仕組みで、タイ国内の組立投資と引き換えに輸入優遇措置を与えるというもの。タイは東南アジア最大のEV生産拠点を目指しており、税制優遇や補助金支給を行っている。BYDは同制度の延長に加え、販売刺激策の導入も要望した。

タイ国内新車販売は2024年に57万2000台に減少し、ASEANではインドネシア、マレーシアに次ぐ3位に転落した。一方、タイの年間生産能力は約100万台でASEAN首位を維持している。

一方、FTI(タイ工業連盟)のナワ副会長は「エンジン車部品メーカーがEV部品製造へと転換するには支援が必要」と指摘。BYDに対し、タイ政府が定める現地調達率45%以上を目標に、部品供給網の強化を促す。
NESDC(国家経済社会開発委員会)は「EV関連投資は2025年に2000億バーツ規模へ拡大する可能性がある」と分析しており、優遇策の延長は雇用・投資両面で波及効果が大きいと指摘する。

BYDは現地で価格競争を重視し、低価格戦略を維持する構え。このため、政府内ではEV政策の再設計が進められており、EV4.0構想では電池製造・リサイクルまで含む包括支援が検討されている。
タイの自動車産業はGDPの約10%を占め、延長の是非は国内経済に直結する重要課題となっている。

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