【政治】「国境再開は時期尚早」とタイ首相 武装撤収と治安改善が最優先課題
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アヌティン首相は10月27日、カンボジアとの国境通行所が11月1日に再開されるとの観測を否定した。トランプ米大統領らの立ち合いで26日に結ばれた「和平に向けた共同宣言」に示された行動手順は履行されておらず、拙速な再開は治安悪化を招くと強調した。
宣言は①重火器撤収、②地雷・不発弾除去、③越境型詐欺の摘発、④占拠地区の整理の4段階を前提とする。首相は「違反を始めたのはタイではない。まずカンボジアが誠意を示すべきだ」と述べた。
越境物流回復へ安全確保が鍵
タイ・カンボジア国境のサケオ県周辺の国境貿易は中小事業者にとっての生命線だ。長期化すれば在庫滞留や輸送コスト増を招き、地域経済が停滞。国家経済社会開発評議会(NESDC)は、越境物流の途絶が地域所得や雇用に及ぼす多大な影響を指摘する。
軍関係者は、ASEAN代表団が監視する中で重火器撤収が開始されたと報告するが、地雷処理には時間を要し、次段階への移行には確認作業が不可欠。さらに、国境地帯では詐欺犯罪や密輸の取り締まり強化も課題となる。 アヌティン首相は「正常化の目途が立てば再開を協議する」と述べ、地域経済への配慮を示しつつ、国家安全保障を最優先する姿勢を示した。
