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【社会】バンコクで洪水頻発 排水計画の遅れと気候変動で排水処理限界超える

バンコク都内で豪雨による冠水が頻発している。バンコク都庁(BMA)は11月に入り、わずか1週間で主要幹線道路の12カ所が一時通行不能となったと発表した。特にバンスー区、ディンデン区、ラチャダー地区では、排水能力を超える豪雨が続く。都はポンプ場の増設と下水道改修を進めているが、人口集中と都市化の加速が排水処理の限界を超えている。

BMA環境局によると、既存の排水網は1時間あたり60ミリの降雨に対応できる設計だが、最近の豪雨では100ミリを超えるケースが相次ぐ。都は2025年度予算で約96億バーツを排水改修事業に充当し、チャオプラヤ川東岸のポンプ場15基を更新する方針だ。

タイ気象局(TMD)は、エルニーニョ現象の影響で2025年の降雨量が平年比18%増と予測。特に11〜12月の北東モンスーン期に集中豪雨が発生しやすくなる見通しを示した。気候変動による短時間豪雨の増加が、都市インフラの脆弱性を浮き彫りにしている。

都市計画専門家は「BMAはポンプ更新よりも、土地利用計画を含めた“流域設計”を急ぐべきだ」と指摘。バンコク都庁は2026年までにチャオプラヤ川沿いの遊水地整備を進め、自然貯水機能を持つグリーンゾーンを拡張する計画を立てている。

なお、世界銀行の調査では、バンコクは東南アジアで最も浸水リスクの高い都市とされ、年間被害額は約35億ドルに達する。インフラ改修だけでなく、気候適応型都市への転換が急務となっている。

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