【環境】DHL バンナ地区に世界初の完全太陽光倉庫 投資額13億9千万バーツ

独DHLグループ傘下のDHLサプライチェーンは、タイで同社初となる再生可能エネルギー100%稼働の物流倉庫「Bangna Sustainable Logistics Center(バンナ・サステナブル・ロジスティクスセンター)」を開業した。投資額は13億9000万バーツで、バンコク東部バンナ地区に立地する。同社の倉庫網の中で、敷地内の電力をすべて太陽光発電で賄う施設は世界初となる。
施設の屋根には出力4.2MWpの太陽光パネルが約2万4000平方メートルにわたり敷設され、蓄電容量10MWhのバッテリーとエネルギーマネジメントシステムを備える。これにより、再生可能エネルギーのみで倉庫運営が可能となる。
館内には自然採光用の天窓を多く設け、高効率空調や節水設備を導入。同センターは、冷蔵・定温ゾーンと一般倉庫ゾーン、フリートレードゾーンを組み合わせた設計で、食品、医薬品、温度管理が必要な高付加価値製品などを一カ所で扱える。ロボットや自動搬送機器を活用し、誤出荷を減らしながら出荷リードタイムを15〜20%短縮できるとする。
また、施設はスワンナプーム空港近くのDHLエクスプレスの航空ハブや、国際貨物を扱うDHLグローバルフォワーディングのハブ、EC向けフルフィルメントセンターと連結している。
DHLサプライチェーンは世界で50カ国以上、1300超の倉庫を運営。 保管スペースは「使った分だけ支払う」従量制で、輸出志向のタイ企業の海外展開を後押しする狙いもある。今後は自律走行ロボットやピッキングロボットを増やし、人と協働する柔軟なオートメーションを進めていく。また、エンジニアやデータ専門家、整備技術者など人材育成への投資も拡大する方針だ。
タイ政府はネットゼロ達成時期を2065年から2050年に前倒しする方針も示しており、物流施設の脱炭素化はその一部を担う施策と位置づけられる。施設は今後1年程度で満床になる見通しで、DHLは次の用地の検討も始めている。
