【資源】タイ政府、年末までLPG価格を423バーツで維持 勘定は大幅マイナス

タイ政府は、家庭用LPG(液化石油ガス)の価格抑制策を年末まで延長することを決めたほか、電力計画を所管する2つの新たな小委員会を設置した。アッタポン・エネルギー相が議長を務めるエネルギー政策管理委員会(EPAC)は11月5日の会合で、製油所出荷段階のLPG卸値を付加価値税を除き1キロ当たり20.9179バーツに据え置くと決定。これにより、15キロボンベの家庭向け小売価格は約423バーツに維持される。今回の価格凍結は2025年11月5日から12月31日までを対象とする。
タイでは2024年4月以降、エネルギー政策計画局(EPPO)が、国内の物価負担を抑える目的でLPG卸値20.9179バーツ、15キロボンベ423バーツ程度という水準を目標価格として設定してきた。その後も価格凍結は延長され、オイル燃料基金が赤字を抱えつつも家計支援の役割を担っている。最近の報道によれば、LPG勘定は410億バーツ超のマイナス、基金全体でも100億バーツ台半ばの赤字となっているが、政府は「生活費対策を優先する」との姿勢を崩していない。
会合では同時に、EPACの下に2つの小委員会を新設することも決まった。1つ目は「電力需要予測・電源開発計画(PDP)小委員会」であり、長期的な電力需要を予測し、国家の電源開発計画を策定する役割を担う。2つ目は「近隣諸国との電力協力小委員会」。タイと周辺国との間で電力売買を進め、国境を越えた送電線網の計画・建設や、その他の電力協力を効率的に進めることを目的とする。
LPG価格凍結は、冬場の国際LPG価格上昇リスクを背景に、生活費とエネルギー安定を両立させる「クイック・ビッグウィン」政策の柱とされている。その一方で、基金の赤字拡大やエネルギー補助の持続可能性には懸念も出ており、新設される2つの小委員会が、電力需給と地域間連系をどう設計し、価格政策と両立させるかを検討していく。
