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【政治】タイ最大野党が詐欺対策で首相批判 オンライン詐欺などへの対応に遅れ

最大野党・人民党のナタポン党首は、タイ政府のオンライン詐欺対策が後手に回っているとして、アヌティン首相の指導力を厳しく批判した。党首によれば、アヌティン首相は経済フォーラムの場で「詐欺ネットワークやコールセンター詐欺を取り締まるための具体的な戦術が欠けている」と発言したが、この説明自体が中身も方向性も示していないと指摘した。

タイではここ数年、SNSを悪用した偽投資や通販詐欺、コールセンター詐欺などの被害が急増。警察のサイバー犯罪部門によると、2024年にはサイバー犯罪の届け出件数が40万件を超え、被害額は600億バーツ以上に達したとされる。

また、政府系機関の集計では、2022年3月から2024年10月までのオンライン詐欺被害額が合計748億バーツに上るなど、国民生活と経済に深刻な影響を与えている。

こうした状況を受け、タイ政府は銀行口座やSIMカードの保有数制限、いわゆる「出し子口座」への監視強化、オンライン詐欺対策センターの設置など、制度面のテコ入れを進めている。直近では、国家放送通信委員会(NBTC)に対し、1人あたりのSIMカード保有数を5枚までに制限する新ルールの策定を求めるとともに、中央銀行(BOT)には不正利用が疑われる銀行口座の一括凍結や前科者への口座開設制限を指示している。

しかし野党側は、被害件数や被害額の水準が依然として高いことを挙げ、政府の対策は場当たり的で実行力に欠けると批判。ナタポン党首は、カンボジアなど周辺国に拠点を置く詐欺組織に対する協力捜査や、警察内部の汚職疑惑の解明を含め、より踏み込んだ戦略とガバナンス改革が必要だと主張している。

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