【政治】タイ首相がシンガポール公式訪問 オンライン詐欺対策で協力要請
広告
アヌティン首相は11月7日、シンガポールを公式訪問し、両国の国交樹立60周年を記念するセレモニーにローレンス・ウォン首相とともに出席した。この席上でアヌティン首相は、タイ国内で近年深刻化しているオンライン詐欺問題の対策に向け、シンガポール政府に協力を求めた。
タイ国内では「コールセンター詐欺」やSNSを通じた投資詐欺、偽ECサイトなど、デジタル犯罪が拡大。タイ警察庁の統計では、2024年度上半期のオンライン詐欺被害額は合計200億バーツを超えた。被害者の多くが一般消費者および中小企業関係者となっている。政府は銀行間送金の監視強化やSIMカードの実名登録徹底などを進めているが、犯行グループは国外拠点を利用するケースが多く、タイだけで対処することが難しい状況にある。
一方、シンガポール政府は、金融・通信事業者・警察を一体化した「Anti-Scam Centre(ASC)」を通じた詐欺資金の早期凍結と追跡に成功している。このため、タイ政府はこの取り組みを参考に、各国と連携した越境対策網の構築を進める方針だ。
アヌティン首相は、オンライン詐欺が国民生活の安全と国の経済基盤を脅かす問題であると強調。「ASEAN域内で協力の枠組みを広げることが不可欠」と強調した。今後は情報共有と犯罪者引き渡し手続きの円滑化など、より具体的な協議が進められる見通しだ。
