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【三面】カンボジア財閥総帥に逮捕状 資金洗浄、オンライン詐欺関与の疑い

タイ刑事裁判所は11月9日、カンボジアの大手財閥総帥であるリー・ヨン・パット氏に対し、資金洗浄およびオンライン詐欺関与の疑いで逮捕状を発行した。同氏の側近ら関係者4人についても同様に逮捕状が出された。リー氏はカンボジア政界の有力者であるフン・セン上院議長(前首相)と親交があるとされ、その影響力の大きさから国際的な注目が集まっている。

近年タイでは、カンボジア、ミャンマー、ラオス国境地帯に拠点を置く越境型オンライン詐欺組織が問題となってきた。これら組織は偽投資サイト、SNS金融詐欺、恋愛感情を利用した「ロマンス詐欺」などを通じて資金を吸い上げ。犯行グループは得た資金を暗号資産やネット銀行を経由して洗浄している。

リー氏が逮捕状の対象となった背景には、こうした詐欺組織の資金ルートに財閥系企業や政治的ネットワークが関与している疑いが浮上したことがある。資金洗浄が成功すれば、違法資金が合法ビジネスや不動産投資に流れ込み、犯罪と正規経済が一体化するリスクが高まる。

タイ警察は今年に入り、国境地帯にある通信詐欺拠点の摘発を強化。台湾人、マレーシア人、中国人など外国人関係者の逮捕が相次いでいる。しかし資金洗浄の中心が企業・財閥レベルに及ぶ場合、捜査には外交交渉や司法共助が不可欠となり、捜査は長期化する可能性が高い。

なお、捜査関係者は、越境詐欺組織がもはや「犯罪グループ」ではなく、地域の経済インフラや投資事業と結びついた「準経済圏」を形成しつつあると指摘する。

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