【経済】工業団地大手WHA、AMATA株、タイランド・ファストパス政策期待で株価上昇
タイ証券取引所では、工業団地大手WHAコーポレーションとAMATAコーポレーションの株価が上昇している。AMATAは前日比で約2.5%高、WHAも約2.5%高となり、経済閣議が承認した新たな投資促進パッケージ「Thailand FastPass(タイランド・ファストパス)」が評価された形だ。
証券会社ユオビー・ケイヘイアン(タイ)は、Thailand FastPassにより、すでに投資委員会(BOI)の認可を受けた80件、総額約4800億バーツの大型プロジェクトの操業が加速すると指摘する。対象はデータセンター、工業団地開発、再生可能エネルギー、電子産業など「未来型産業」が中心で、工業団地を展開するAMATA、WHA、さらにWHAグループの公共事業・電力会社WHAUPにとって追い風になるとみられている。
カシコン証券はAMATA株の目標株価を23.50バーツとし、2026年予想PBRが約0.7倍と割安で配当利回りも6〜7%と高い「配当テーマ株」と位置付ける。同社は約250億バーツ規模の土地販売バックログを抱えており、特にマージンの高いチョンブリ県の工業団地で、2025年第4四半期から2026年にかけて土地引き渡しが加速すると予測する。経営陣は2026年の土地販売目標を2000〜3000ライに設定しており、2025年通年の土地引き渡しも約2000ライと、この10年で最高水準になる見込みだ。
一方、WHAについてはSBIタイオンライン証券が、2025年第4四半期の業績は前期比・前年同期比ともに回復すると予想。工業団地の土地引き渡しはバックログからの反映が進み、第4四半期だけで最大1000ライの大口取引が成立する見通しで、通年の土地引き渡し目標2350ライの達成に寄与する。さらに、土地需要が急増しているデータセンター大手との間で、約1000ライ規模の用地取得交渉が進んでおり、今期中に1〜2社が契約に至れば上振れ要因になるとしている。
また、水・電力を手がけるWHAUPの事業は堅調で、データセンター向けの追加水使用料も収益押し上げ要因となる。中国プラスワン戦略やデジタル産業の急成長に伴い工業団地需要は構造的に拡大しており、Thailand FastPassが実際の投資をどこまで早められるかが、両社の株価の次の焦点となる。
