期間限定バンコク週報無料購読キャンペーン実施中

【経済】年末へ向けタイ株続落 不動産・商業株が下押し 12月後半は押し目買いの好機か

タイ株式市場は年末に向け軟調となっており、特に不動産や商業株の下落が目立つ。SET指数は月間で約6%下げ、10月末の終値は1256.69ポイントとなった。平均売買代金は日量338億バーツと前月比で13%減り、薄商いが続く。景気面では7~9月期の実質GDP成長率が前年同期比1.2%にとどまり、内需の回復力に慎重な見方が強い。12月前半は米連邦準備制度理事会(FRB)の会合を受け、利下げ時期と回数の読みが揺れた。市場では年内2回程度の利下げ余地が意識される一方、米景気は底堅く、インフレが2%目標に戻るのは2027年までずれ込むとの見方が株価の重荷となる。地政学リスクの高まりも不確実性を増し、輸出企業は新市場の開拓を迫られている。

一方、年末は税控除目的の資金が入りやすい。税優遇型のThai ESG(TESG)ファンドは2024~2026年の投資で所得の30%(年30万バーツ上限)まで控除対象となり、ESG評価の高い大型株に資金が向かいやすい。銘柄では通信のADVANCが第3四半期の業績が市場予想を上回ったとされ、買い候補に挙がる。小売のCPALLは株価が調整したが、傘下の店舗網が計1万5764に拡大し、TESG資金の受け皿として注目される。セメントのSCCCは第4四半期も増益が見込まれ、今後2年の配当利回りが年7.8%程度とされる。洪水後の道路補修需要が追い風となるTASCOも配当利回り6.5%と高い。

指数は下押しした分、割安感が意識されやすい。悪材料が出尽くせば投資妙味が増すとの声もあり、12月後半は押し目買いのタイミングを探る動きが出そうだ。ただ流動性の低さは続く。投資家は金利と景気を見極めつつ、配当とESG資金を軸に銘柄選別を進める局面となる。

この記事がお役に立ちましたら
フォローをお願いします

シェアしていただければ幸いです
目次