【商業】バーツ高や中越との競争激化でタイ観光業に減速懸念 2026年は横ばいの見通し
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- バーツ高が訪タイ旅行の割高感を招いており、業界内では1ドル32バーツ後半から33バーツ前後が適正水準であるとの声が多い。
- 中国は安全性や決済等の総合力で優位性を高め、ベトナムは低価格と新規資源を武器に一部市場でタイから需要を奪っている。
- タイ国政府観光庁は2025年の外国人客数を3280万と見込むが、民間業界団体は2026年の客数は横ばい圏に留まるとの予測を示す。
2026年のタイ観光産業は先行き不透明感が強まっている。最大の懸念材料は通貨バーツ高の進行だ。為替相場の上昇は訪タイ旅行の割高感を招き、旅行者の滞在日数や消費額を抑制する直接的な要因となる。そのため、タイの観光業界からは、競争力を維持するための適正水準として1ドル32バーツ後半から33バーツ前後が望ましいとの指摘が相次いでいる。現状はこの水準を上回って推移しており、観光を経済の成長エンジンと位置づける政府方針との間に乖離が生じる形となった。
周辺国による観光客の争奪戦も激化し、地域内の競争は新たな局面に入った。特に中国は自国内観光の活性化だけでなく、訪中外国人の誘致にも注力。安全性や観光商品充実、決済システム、多言語対応などを一体化させた総合力で優位性を高めており、タイにとって最も警戒すべき競合相手となっている。また、日本は円安を背景に欧米を含む外国人客を急増させた。一方、ベトナムは物価の安さと新規観光資源を武器に、ロシアなどの特定市場でタイから需要を奪いつつある。
タイ国政府観光庁(TAT)は2025年の外国人観光客数を約3280万と見込んでおり、業界団体は2026年の増減について、横ばいを予測する。安全対策の徹底や観光商品の刷新など、抜本的な競争力強化が進まなければ、タイがアジア域内での地位低下を避けるのは困難な情勢だ。
