【製造】 エネルギー危機が製造コストと物流費を直撃 ディーゼル価格が前月比69%急騰
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中東紛争を発端とするエネルギー価格の急騰が、タイの製造業と工業団地に甚大な打撃を与えている。国内のディーゼル価格は前月比で約69%急騰し、1リットル当たり約50.54バイトに達しており、製造コストと物流費の双方を直撃している状況だ。
経済への波及を数字で見ると、ディーゼル高が1カ月間にわたって1リットル50〜55バーツの水準で続いた場合、2026年のGDP成長率を0.4〜0.5ポイント押し下げ、成長率は1.3〜1.4%に低下すると試算されている。さらに証券取引所に上場する製造企業全体の1株あたり利益(EPS)が1.2〜1.5%程度低下する可能性もある。また、高値が2カ月続く悪化シナリオでは株式市場全体が1340ポイント近くまで下落するリスクがあるとアナリストは指摘する。
一方、工業団地内の企業が直面する課題は複合的だ。エネルギーコストの上昇は製品の製造原価を押し上げるだけでなく、原材料の調達コストや製品の搬出運賃にも連鎖する。石油化学関連企業は中東産の原料調達が難しくなり、一部では操業調整を余儀なくされている。加えてインフレが加速するなか、タイ中央銀行は政策金利を1%に据え置く方針で、エネルギー起因の供給側インフレに対して利上げは効果が限定的との判断だ。
ただ、タイ証券市場では、こうした逆風のなかでも注目すべき分野として、インフラ・デジタル経済関連株、政府のThai Help Thai Plusなど内需刺激策に支えられた内需株、高配当株などが候補に挙がっており、タイ投資委員会(BOI)優遇を活用したデータセンター関連の投資拡大も引き続き期待されている。日系製造業にとっては省エネ投資の前倒しと調達先の多元化が喫緊の経営課題となっている。
