【車両】タイ運輸省 EV年次税減免1年延長へ 補助金縮小後の価格上昇に懸念も
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タイ運輸省は、新規登録される電気自動車(EV)の年次税を80%減免する措置を1年延長する方向で、勅令案を準備している。従来の電動車年次税減免勅令は2025年11月10日に期限を迎えたが、制度期間中の電動車登録は31万6657台に達し、減免がなかった場合の見込みの2.46倍となった。燃料価格の上昇が家計と物流費を圧迫する中、購入後の維持費を抑えることでEVへの移行を促す計画だ。
新たな勅令案では、電動車として製造された新車を対象に、自動車法に基づく年次税率から80%を減ずる。対象は乗用車にとどまらず、公共交通や商用車への波及も見込まれる。タイ政府は2030年に国内生産の一定割合をゼロエミッション車とする方針を掲げており、タイ投資委員会(BOI)の優遇措置や物品税政策と組み合わせ、EV生産拠点としての地位を固める狙いがある。ただしEV市場では、補助金縮小後の価格上昇、充電網の地域差、中古車価格の不透明さも課題として残る。
税減免の延長は消費者心理を支える短期策だが、サプライチェーン再編を促す長期シグナルでもある。タイでは中国系メーカーの現地生産が増え、価格競争が激しくなっている。日系企業にとっては、電池・樹脂部品・電装品・熱管理・整備教育の需要が広がる一方、内燃機関部品の受注減に備えた事業転換が避けられない。政策が需要を下支えすれば、部品の現地調達率引き上げや充電サービス・リース・保険といった周辺ビジネスにも商機が生まれる。政府が税制・インフラ・産業育成をどの順で組み合わせるかが、日系企業の投資判断を左右する。
