【政治】タイ憲法裁判所、4000億バーツ緊急借入令巡り合憲判断 景気下支えに前進
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タイ憲法裁判所は7月9日、政府がエネルギー価格の高騰に対応するため財務省に権限を与えた4000億バーツ(約2兆円)規模の緊急借入令について、憲法違反には当たらないとする判断を下した。野党側議員133人が違憲性を訴えていたが、裁判所はこれを退けた。
借入令は5月の閣議で決定されたもので、使途は2つに分かれる。1つ目は低中所得者や農家、中小企業向けの生活支援策「タイ・ヘルプ・タイ・プラス」に充てる2000億バーツ。2つ目は電気自動車の普及支援や充電インフラ整備など、クリーンエネルギーへの転換を後押しする2000億バーツだ。いずれも、中東情勢の悪化に伴う燃料・電力価格の上昇が家計と企業収益を圧迫する中、内需の底割れとスタグフレーション入りを防ぐ狙いで打ち出された。
これに対し、反対派は、通常の予算編成手続きを経ずに緊急勅令の形を取った点を問題視していたが、裁判所は、生活支援分については全裁判官一致で合憲と判断。エネルギー転換分についても7対2の多数決で合憲との結論に達した。少数意見は、エネルギー転換への支出は緊急性に乏しいとの意見だった。
今回の判断で借入令そのものが失効する事態は避けられたが、これで手続きが完了したわけではない。借入令は今後、下院と上院の承認を経て初めて法律として正式に効力を持つ。政府は早期の国会提出を急ぐ方針とみられ、仮に承認が得られなければ勅令自体が失効するため、今後も政治的な駆け引きが続く可能性がある。
なお、判断公表直後、タイの株式市場(SET指数)は上昇。投資家は財政運営の不透明感がひとまず和らいだと受け止めた形だ。
