【経済】タイ商務省、対中貿易赤字縮小へ中国企業に現地調達の拡大を要請する方針

タイ商務省が、対中貿易赤字の縮小に向けた新たな方針を打ち出した。スパチー副首相兼商務相が明らかにしたもので、中国からの投資がタイ国内により多くの恩恵をもたらすよう、原材料や部品の現地調達を中国企業に促す「共創」型のアプローチを提案するという。
背景には、タイの対中貿易赤字が急速に拡大している事情がある。専門家の試算によると、2025年の対中貿易赤字は678億米ドル(約2兆2000億バーツ)にのぼり、2026年はさらに拡大する見通しだという。要因としては、中国が米国との貿易摩擦を受けて輸出先をアジア・ASEANへ転換していること、中国がタイへの最大の投資国であり機械や原材料、部品の輸入が増えていること、電子商取引(EC)の拡大で低価格な中国製品がタイの消費者に届きやすくなっていることーなどが挙げられる。タイの鉄鋼・ゴム製品業界では、稼働率が30%を下回る状況も生じているという。
スパチー大臣は、電気自動車(EV)分野を中心に、中国メーカーが部品や原材料を現地調達する比率を高めるよう働きかけていく考えを示す。日系自動車メーカーがタイで独自のサプライチェーンを構築するのに約20年を要した経緯を引き合いに出しつつ、中国側も移行期間の設定には原則合意しているという。
一方、タイは中国だけでなく米国との貿易関係も同時に管理する必要がある。輸出全体の約2割を占める米国とは貿易黒字を抱えており、過度な黒字を抱えないよう調整しつつ、対中赤字の縮小も図るという難しい舵取りを迫られている。
タイで現地生産・現地調達を進めてきた日系企業にとっては、中国企業の現地調達強化により、部品調達をめぐる競争環境が変化する可能性がある。特に自動車部品分野では、中国系サプライヤーとの競合が一段と強まることも考えられ、今後の制度化の進捗を注視したい。
