【政治】タイ内閣、洪水被害者に約5.5億バーツの緊急予算承認 迅速支給を指示

タイ内閣は8月25日、今年の雨季に発生した洪水の被災者を支援するため、5億5873万9000バーツの予備費支出を承認した。首相府報道官によると、対象となるのは41県の6万971世帯余りで、応急的な生活費として世帯ごとに9000バーツを支給する。土砂崩れや洪水により命を落とした被災者には、1人あたり200万バーツが支払われる。北部ナーン県ではこれまでに5人が洪水被害で亡くなっており、今回の予算はその遺族への支払いにも充てられる見通しだ。
タイ政府は今年4月21日、被災者を支援するための恒久的な基金を新設する方針を原則承認していた。しかし基金の設立は手続きに時間がかかり、直近の洪水被害への対応に間に合わない可能性が高いことから、今回はまず既存の予備費を使って緊急的に対応することにしたという。アヌティン首相は、被災者に何度も同じ書類の提出を求めるなど、手続きの負担を増やさないよう関係機関に指示したうえで、できるだけ早く支給を進めるよう求めた。今後も被害状況の確認が進み次第、追加の支援策を検討していく。北部を中心とする一連の豪雨は、農地の冠水や交通網の寸断、集落の孤立など、生活基盤への影響も広範囲に及んでいる。
タイでは近年、雨季になると北部や東北部を中心に大雨や河川の氾濫が繰り返し発生しており、農地や住宅、道路網などのインフラに被害が及ぶことが常となっている。北部のタイ人が口を揃えるのが、山間部の不法森林伐採により保水能力が低下しているため、河川氾濫が起きやすくなっているという点。ある県では中国資本などにより広範囲で森林が伐採され商品作物が栽培され洪水被害が年々拡大しているという。一般庶民が一部特権階級の犠牲になる構図へのメス入れを期待するタイ人は少なくない。
タイで工場や物流拠点を運営する日系企業にとっても、洪水は従業員の通勤や部品の調達、輸送ルートに影響を及ぼしうるリスクであり、特にサプライチェーンが北部や東北部の取引先とつながっている企業は、被災地の状況や政府の対応状況を、事業継続計画(BCP)を見直すうえでの参考材料として押さえておきたい。
