タイの中小企業(SME)を取り巻く資金繰り環境が厳しさを増している。カシコン・リサーチセンターによると、2026年第2四半期のSME向け融資残高は前年比5.6%減少し、2022年第4四半期以来15四半期連続のマイナスとなった。
同センターのカーンチャナ氏は、当初4.5%減と見込んでいた今年の融資残高の落ち込みが、実際には5%程度まで悪化する可能性があると指摘。担保を補うSME向け支援策「SMEs Secure+」は有効な施策だが、各金融機関が独自の金融プログラムを整える必要があり、効果が表れるまでには時間がかかるという。
不良債権化の兆候も強まっている。返済延滞90日以内の「ステージ2」と、90日超または不良債権化した「ステージ3」を合わせた比率は25.59%に達し、前年の25.55%からさらに上昇した。中小企業信用保証公社(TCG)のシティコーン総支配人によると、この比率は10年前には18%程度だったが、2024〜25年にかけて28%まで急上昇。以降も高止まりしているとのことだ。
背景には、SMEの営業利益が支払利息をまかなうのに十分でないという構造的な問題がある。金利負担そのものは今年低下しているものの、人件費や原材料費など他のコストが上昇しており、事業体力に余力のある一部の企業だけが好調な業界動向についていける状況だという。
タイ中央銀行(BOT)のウィタイ総裁は、TCGの取り組みと並行して、SME向け融資保証の水準を引き上げる案をエクニティ副首相兼財務相に提案する考えを示す。すでに実施中の「SMEクレジット・ブースト」制度では、開始から約6カ月で目標の800億バーツに対し653億1900万バーツの融資承認実績があるとのことだ。

