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商務省事業開発局、2025年の「名義貸し」調査計画を修正。外国人がタイ人の名義を借りて事業を展開する違法行為リスクの高い6業種を重点調査

タイの外国人事業法(Foreign Business Act B.E. 2542)の第36条・第37条ではタイ人による「名義貸し(ノミニー/Nominee)」行為を禁止している。具体的には外国人が「規制対象事業」に参入するために、タイ人に名義を借りて「タイ法人を装って」事業を行う行為が禁止される。違反した場合は、名義を借りた外国人だけでなく、名義を貸したタイ人、この不正行為を支援したタイ人も処罰対象になる。罰則は3年以下の禁固(懲役)、または10万バーツ以上100万バーツ以下の罰金、またはその双方が科される。つまり、タイ人に株を持たせて、実質は外国人経営という形態は違法リスクが極めて高いというこだ。


商務省事業開発局(DBD)は、2025年のタイ人名義貸し調査計画を見直し、外国人がタイ人を名義人(ノミニー)として不法に事業を営んでいる可能性のある6業種に重点を置く。今年5月11日、同局のサイトを通じて明らかにした。具体的には、❶ 観光及び関連業(レストラン、飲食店、土産物店など)、❷土地・不動産取引業、❸eコマース、輸送、倉庫業、❹ホテル・リゾート業、❺農業関連事業、❻一般建設業。


DBDではすでにこれらの業種に絞った4万6918件の調査を計画しており、関連の作業部会や法執行機関と連携して現地調査を実施する予定だ。初期段階では外国人が0.09〜49.99%の出資比率で関与している法人が対象となる。同時に、マネーロンダリング対策局(AMLO)と協力し、外国人の違法事業を支援または共同運営する個人の財産を没収できる法律を策定中であり、ノミニーの一掃を目指す。

オラモン・サップタウィタムDBD局長によれば、「今年度のノミニー調査計画では、一般からの通報や現在ニュースで取り上げられている疑わしい事業も対象に含まれている。たとえば、ラマ9通りやバンコク・クリタ通り周辺の建設・不動産事業、フワイクワン、ラマ9通り、ラチャダピセーク周辺の飲食店、また、ラヨーン県やチャンタブリ県における農地の所有などが含まれる」とのことだ。

なお、ピチャイ・ナリパタパン副首相兼商務相によれば、‘2024年9月1日から2025年3月31日までの間に合計852件を名義貸しの不正行為を摘発しており、こ被害総額は151億8,800万バーツに達したものと見積もられている。

一方、DBDとAMLO(マネーロンダリング対策局)は協働してマネーロンダリング防止法改正案の草案をまとめている。この改正案では、以下の行為を「基本的犯罪」として追加する条項が含まれる。

  • 外国人が、外国人事業法(1999年法)附則に掲載された事業において、タイ人に株式を名義貸しさせたり、タイ人と共に事業を運営したり、またはタイ人を代理人として利用する行為(第36条)
  • 外国人が許可を得ずに事業を行う行為(第37条)

この改正案が可決されれば、違反者(タイ人および外国人)の資産は国家に没収・凍結される。
今後、AMLOは内閣に法案を提出し、その後、下院および上院における審議・承認のプロセスへと進む予定だ。

<問い合わせ先>
商務省事業開発局 コーポレート・ガバナンス部門 事業調査課
TEL: 02-547-4512 / ホットライン1570 / www.dbd.go.th

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