期間限定バンコク週報無料購読キャンペーン実施中

外国企業が知っておくべきタイ会計業務の「基礎の基礎」

タイでの会計業務について基本的な概要から、知っておくべきこと、注意すべき点まで、順を追ってご説明します。

目次

タイ会計業務の基本

タイの会計基準は、原則として国際会計基準(IFRS)をベースにしています

主な会計期間

  • 12カ月以内の期間であれば、決算期を自由に設定できます。例えば、1月1日から12月31日まで、4月1日から3月31日まで、あるいは、日本の親会社に合わせた決算期、または、法人登記の月からその12か月後迄、などです。
  • 決算期は、法人登記の際に登記する「附属定款」に書くことで決められます。

主な財務諸表

  • 貸借対照表 (Balance Sheet): 特定時点における会社の資産、負債、資本の状況を示します。
  • 損益計算書 (Income Statement): 一定期間における会社の収益と費用、そして利益または損失を示します。
  • キャッシュ・フロー計算書 (Cash Flow Statement): 一定期間における現金の増減を示します。

会計処理の原則

  • 発生主義:収益と費用は、現金の受け払いに関わらず、経済的事象が発生した時点で認識されます。
  • 継続企業の前提:特に反証がない限り、会社は将来にわたって事業を継続するものと仮定して会計処理が行われます。
  • 重要性の原則: 会計情報の重要性の度合いに応じて、開示の程度が判断されます。
  • 保守主義の原則: 複数の選択肢がある場合、利益を過大に計上せず、費用を過小に計上しないように会計処理が行われます。

知っておくべきこと

  1. 会社の規模や種類によって適用される会計基準が異なります。中小企業の場合はTFRS for SMEsの適用が可能です。
  2. 会計帳簿の作成と保管: 日々の取引を正確に記録し、関連書類とともに適切に保管する義務があります。主要な帳簿には、総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売上帳、仕入帳、在庫管理帳などがあります。
  3. 税務申告との関連: 会計データは、法人所得税、付加価値税(VAT)、源泉徴収税などの税務申告の基礎となります。会計処理の誤りは税務上の問題につながる可能性があるため、正確な会計処理が重要です。
  4. 監査:すべての法人はタイ国公認会計士(法定監査人)による会計監査を受ける義務があります。
  5. 電子申告・納税:タイでは、多くの税務申告や納税がオンラインで行われています。電子申告・納税システム(e-Filing)の利用が必要になります。
  6. 会計ソフトウェアの活用: 効率的な会計処理と正確な帳簿作成のために、会計ソフトウェアの導入が一般的です。タイ市場には多くの会計ソフトウェアが存在します。

注意すべき点

  1. 言語の壁 会計帳簿や財務諸表の作成、税務申告などはタイ語で行われることが一般的です。英語での対応が可能な場合もありますが、確認が必要です。
  2. 会計基準の変更 タイの会計基準は、国際的な動向や国内の状況に合わせて変更されることがあります。常に最新の情報を把握しておく必要があります。
  3. 税法の複雑さ タイの税法は複雑な部分も多く、解釈が難しい場合があります。税務当局の解釈や判例なども考慮する必要があります。
  4. 書類の保管期間 会計帳簿や関連書類には法定の保管期間が定められています。期間内に適切に保管する必要があります。
  5. 罰則:会計処理の誤りや税務申告の遅延、不備などに対しては、罰金や追徴課税などの罰則が科されることがあります。
  6. 内部統制の構築 会社の規模が大きくなるにつれて、不正や誤謬を防ぐための内部統制の構築が重要になります。
  7. 為替レートの変動:外貨建ての取引がある場合、為替レートの変動が財務諸表に影響を与える可能性があります。適切な会計処理とリスク管理が必要です

記帳代行について

・各法人では会計ライセンス保有者を雇用する義務があります。またはライセンス保有者のいる会計事務所に外注する必要があります。

・法人を登記してしばらくの間は、いきなり会計ライセンス保有者を雇用することにはハードルが高いので、会計事務所に外注するケースが多いです。

・会計事務所に外注する場合ですが、毎月月末に会計書類や通帳の明細を会計事務所に渡す役割を持つ庶務や秘書のようなスタッフ(会計ライセンス不要)を雇用しておき、そのスタッフと、外注先の会計事務所で十分に「やるべきこと」について打ち合わせを行うことになります。「月次決算」では、「源泉徴収税」「付加価値税(VAT)」「社会保険料」の申告・納付を行います。また、「年次監査」では、12か月分の月次報告書を、監査法人に送り、タイ国公認会計士(法定監査人)に承認された後、商務省や税務署で登記を行います。

この記事がお役に立ちましたら
フォローをお願いします

シェアしていただければ幸いです
目次