PROPAK ASIA 2024 開催 タイで関⼼⾼まる機能包装 日本企業も出展
アジア最大級の製造プロセス・加工・包装技術見本市「ProPak Asia 2024」 が6月12日から15日までバンコク国際貿易展示場 (BITEC) で開催された。約45カ国から2000社以上が出展。日本、ドイツ、フランス、スイス、イタリア、北米、中国、韓国、シンガポール、オーストラリア、マレーシア、台湾の12 カ国がパビリオンを設置。公益財団法人・東京都中小企業振興公社も昨年に引き続き、今年もブースを設け、東京都企業の出展を支援した。
興⼈フィルム&ケミカルズ(東京都港区)
年々利用者が増えているレトルト食品のなかでも主流といえるのが、カレーなどの食品を詰めて圧加熱殺菌したパウチ食品だ。そして、袋となるパウチには、透明フィルムを使ったモノとアルミ箔を使ったモノの2種類がある。フィルムおよび関連製品の製造・加工・販売を主要業務とする興人フィルム&ケミカルズ(東京都港区)は、PBT(ポリブチレンテレフタレート)フィルムを使ったパウチの新素材を今回紹介した。食品用途でPBTを使ったのは同社が初めてという。
パウチはアルミ箔を使うことが多かったが、この場合、調理過程で湯煎が必要となり、手間がかかる。さらに、日本ではアルミ箔から透明フィルムをつかったパウチへと移行する傾向もあるという。透明フィルムのパウチは加熱すると膨張し、内圧で蒸気口が開き、湯気が出る。この蒸気口から内容物がもれることはない。
ただ、ここで問題となるのが、透明フィルムの強度を上げるためナイロンを使用することだ。ナイロンは吸湿性があるため、レンチン時に想定していない箇所が破裂して内容物が飛び出し、消費者トラブルを引き起こすことがある。
そこで同社は、ナイロンの代わりにPBTフィルムを使用。PBTには吸湿性がなく、耐熱性も増すことから、想定外の破裂を回避できる。これまでは破裂を防ぐため、食品のレシピが制限されていた。多くの場合、レシピの味を落とさざるを得なかった。ここで、PBTをラミネートしたパウチを使用した場合、パウチ素材は2~4割ほど割高になるが、メーカーにとって食品の味付け等の自由度が高まることになる。
今回、ブース訪問者はタイ企業65%、日本企業10%、そのほかはフィリピンやマレーシア等の企業であり、その多くが食品メーカーだった。
カルモア(東京都中央区)
PROPAK ASIA 2024では、食品・飲料・医薬品・消費財の検査および品質管理に関する技術を紹介する企業の出展も多かった。脱臭装置の開発・設計・販売等を手掛けるカルモア(東京都中央区)は今回、工場内外の悪臭の強さを測定する臭気測定器を出品した。
環境意識の高まりをみせるタイでニオイに関する苦情の多いのは食品やゴム等を扱う工場。周辺住民との悪臭トラブルを回避・解決するためには自社工場の悪臭レベルを見える化することが、その後の対応を円滑に進めることにもなる。また、身体に悪い臭いもあるため、ヒトが嗅いで悪臭の程度を判定するのは危険な場合がある。
同社の臭気測定器にはポータブルセンサーと定点設置センサーがあり、これで悪臭の発生場所を探ることができるが、現在、商品化に向けラボで開発を急いでいるのが識別式臭気センターだ。例えば、ゴム工場では複数のラインがあり、それぞれのラインで臭いが異なるが、識別式センサ―なら臭いの種類を判別し悪臭の原因がどこにあるかを見える化することができる。
食品工場ではこの臭気センサーをオートメーションに組み込むことで食品の腐敗をチェックし消費者の安全性をより高めることも可能。食中毒の多いタイでの投資価値は少なくないといえそうだ。