4⽉のインフレ率 13カ⽉ぶりマイナスに エネルギ―関連品⽬の価格下落
タイ商務省貿易政策・戦略事務局(TPSO)のプンポン局長は5 月6 日、2025 年4 月のヘッドライン・インフレ率(変動幅の大きい生鮮食品価格とエネルギー価格も考慮した総合インフレ率)を前年比0.22%減と発表した。ヘッドライン・インフレ率は24 年4 月以降、プラスが続いていたが、今回は13 カ月ぶりにマイナスに転じている。


このインフレ率低下は主に、世界的な原油価格動向および政府の生活費支援策の影響によりエネルギー関連品目(ガソホール、ガソリン、電気)の価格が下落したことによるもの。また、前年よりも気温が低かったため生鮮野菜および鶏卵の価格も低下した。その一方で、豚肉、加工食品、調味料など一部食品価格は上昇。なお、他の商品・サービスについてはインフレ率への影響は限定的であった。
2025 年3 月時点の国際比較によると、タイのインフレ率はプラス0.84%と依然として低い水準にある。世界134 カ国・地域のうち、インフレ率の低さは下から数えて24 位。ASEAN 加盟8カ国(ブルネイ、シンガポール、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナム、ラオス)中では2 位の低さとなる。
分野別の価格動向(前年⽐)
⾷品・⾮アルコール飲料以外の品⽬
食品・非アルコール飲料以外の品目は前年比で1.45%減となった。特に、エネルギー(ガソホール、ガソリン、電気)、日用品(シャンプー、石鹸、スキンケア製品、ボディパウダー)、清掃用品(洗剤、食器用洗剤、床用洗剤)、衣料(男性用ズボン、T シャツ、シャツ)などが値下がりした。一方で、ディーゼル燃料、家賃、海外旅行費、美容院代などは上昇した。
⾷品・⾮アルコール飲料
食品・非アルコール飲料は前年比1.63%増となった。豚肉、ティラピア、アジ、エビなど水産物、惣菜や麺類など加工食品、インスタントコーヒーや清涼飲料など飲料、植物油やココナッツ製品、もち米やパンなど穀物類、バナナやパイナップルなどの果物、菓子類・砂糖製品の価格が上昇した。その一方で、ライム、インゲン、キュウリ、パクチー、白菜、唐辛子などの野菜、鶏卵、みかん、焼き鳥などは値下がりした。
また、エネルギー価格と生鮮食品価格を除くコアインフレ率は前年比0.98%増となり、前月(3 月)の0.86%増から加速している。
⽉次⽐較(2025 年3⽉/4⽉)
2025 年4 月の消費者物価指数(CPI)は 100.14(基準年は2019 年)となり、前月(25 年3 月)比で0.21%の減少した。これは主に、非食品・非アルコール飲料カテゴリーが 前月比で0.67%減少したことによるものだ。特に、電気、燃料(ガソホール、ディーゼル、ガソリン)、高速道路の料金が下がった。これは、政府の電気料金支援策およびソンクラン(旧タイ正月)に帰省する人々への生活費支援による影響である。
一方、スキンケア製品、洗顔フォーム、美容院代、アイロン用洗剤などの価格は上昇。食品・非アルコール飲料カテゴリーも前月比で0.48%上昇。豚肉や一部野菜(ライム、唐辛子)などの生鮮食品は、気温上昇による収穫量減少と消費需要継続により値上がりした。このほか、フードデリバリーサービスのプロモーション終了も影響している。一方、マンゴー、スイカ、グァバなどの果物、キュウリ、空心菜、小松菜などの一部野菜、もち米、うるち米の価格は下落した。
なお、今年1 月から4 月までの平均CPI は、前年同期比でプラス0.75%となった。